電気自動車の充電が思ったより簡単でない理由は?

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 電気自動車の充電が

思ったより簡単ではない理由は?

 

フォルクスワーゲン(Volkswagen)、メルセデス・ベンツmercedes-benz)、ポルシェ(porsche)のような自動車メーカーでは、2020年までに電気自動車(EV;Electric Vehicle)のラインナップを大幅に拡大すると明らかにしました。特に、電気自動車市場は、中国で急成長しています。中国は、昨年4月、化石燃料車両の生産が多い会社には、罰点ポイントを与え、電気自動車の生産が多い会社には加点ポイントを与える、「ダブルポイント」制度を導入するなど、政府が積極的に乗り出し、電気自動車の産業を育成しています。2017年、世界の電気自動車販売量は、50%以上が中国市場で行われたものの、電気自動車への関心は、環境問題や新しいエネルギー源への関心と共に高まり、世界的に広まっています。 


​ガソリンスタンドでガソリンを入れる時、ほとんどの運転者は、ガスポンプが自分の車と互換されることについて心配しません。車の注油口とガスポンプが合わない場合はないためです。しかし、電気自動車の場合、すべての電気充電インフラが汎用的な標準を遵守しているわけではないため、運転者は電気充電プラグと車両間の互換に対し、注意しなければなりません。充電所は、様々なタイプのプラグと充電方法を使って、電気エネルギーを供給します。スマートフォンを例に挙げると、IPhoneやGalaxyなど、スマートフォンメーカーがそれぞれ異なるポートを持っていて、充電の際、互換ができないことと同じです。すなわち、電気自動車の所有者は、自分の車両と互換される充電所がどこなのかを知って、時にはコネクタの問題により、急速充電を活用できないこともあります。

 

また、互換性の問題は決済インフラまで拡大されます。電気自動車の充電のため、多くの運転者は、充電の前に充電サービス提供会社のサービスにアカウントを設定する必要があります。決済された費用は、一般的に指定されたスマートフォンアプリまたは近距離無線通信(NFC)、無線周波数の識別(RFID)技術が搭載されたカードにより管理されます。つまり、電気自動車で旅行に行くとすれば、運転者は旅行中間に新しい電気充電サービスにアカウントを登録する必要があるかもしれません。そのため、電気自動車の商用化のためには互換性が高く、ユーザーフレンドリー(User Friendly)な決済プロセスが必要です。

では、現在の電気車充電関連の標準化はどれほど進んでいるのでしょうか。

 

現在、充電地点とネットワークシステム間の通信のための実質的な標準として知られているのは、OCPP(Open Charge Point Protocol)があります。

このプロトコルは、中央管理ネットワークに充電所を接続できるようにし、通信を便利にしています。現在、約50固以上の国で40,000固以上の充電所が設置されています。OCPP は、ユーザ識別またはネットワークローミングに関わる標準化要求は解決できませんが、電気自動車の充電ネットワーク管理や成長において、将来的には電気自動車のエコシステム構築に約に立ちます。


充電は、エネルギーだけでなくデータ交換も可能です。

多くの人々が電気自動車の充電について誤解していることがあります。電気充電が注油のように、「あるタンクを電気で詰めること。」と思うのですが、実は、電気自動車の充電は、エネルギーを交換するより、データを交換する概念により近いです。自動車に充電プラグを差し込むと、両客体は、口座番号から支払いの細部による内容に至るまで、取引に対するデータ交換を開始します。

 

したがって、敏感な情報が交換されるだけに、他のITシステムと同じく電気自動車の充電システムにもセキュリティ技術が必ず要求されます。まず、最初から両客体を認証し、信頼できる客体のみをネットワークにアクセス許可をしなければなりません。なお、充電インフラストラクチャ(Infrastructure)全体にセキュリティを適用し、車両の電気充電に対する請求から決済システムに至るまで、すべての項目に対する完璧なEnd to Endセキュリティが行わなければなりません。

 

昨年末には、電気自動車シンポジウムである「CCS&ISO/IEC15118テスティングシンポジウム」でPKI(Public Key Infrastructure、公開鍵基盤構造)ワークショップが新設されるなど、電気自動車の充電セキュリティ問題が話題となっています。これからは、電気自動車が商用化段階に進みながら、セキュリティ構築が加速されると予想されます。


最後に

スマートに充電するためには、スマートなセキュリティが必要ということを認識しなければなりません。ISO15118標準に基づいた技術である「Plug & Charge(プラグ&チャージ)」は、スマートな充電のために、自律的かつ統合された認証技術を活用しています。「Plug & Charge」技術を活用すれば、通信する主体は追加的にアプリやカードがなくても、身分確認を行うことができ、便利な充電が可能になります。しかし、プロセスが高度に自動化されているため、ネットワークに悪性コードが流入せず、充電あるいは課金システムに混乱をもたらさないようにセキュリティに注意しなければなりません。

 

一般の注油車両の場合、注油金額をすぐ確認にし、決済しますが、電気自動車の場合はほとんど月単位で充電金額が請求されるため、金額が請求される前に、不審な活動が発生してもすぐ確認することが難しいことがあります。従って、メーカー(OEM)や充電オペレータ(CPO)、そしてエネルギー供給者に至るまで、電気自動車の生態系に参加するすべての主体は、スマート充電またはV2G(Vehicle to Grid)環境のために設計されたセキュリティ技術と互換される製品を開発する必要があります。

 

新しい機会は新しい危険を伴います。相互運用性やセキュリティ認識の欠如によって発生する問題を効果的に緩和するためには、電気自動車の充電がどのように作動するかを知り、どのようなセキュリティを適用すべきかを理解しなければなりません。その上、電気自動車の生態系への参加者は、安全で便利な電気自動車の充電環境を整えることが必要です。

 

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