IoTとM2Mが変える未来と企業にもたらすメリットとは

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ここ数年、「M2M(エム・ツー・エム)」という話題をあちこちで見聞きするようになりました。IoTもよく耳にしますが、これらの違いをご存知でしょうか?今回はIoTとM2Mの違いの他、それぞれの役割、そしてM2Mがもたらすメリット等について詳しく解説していきます。

 

 IoTとM2Mの違い

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略で、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、自動車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。モノがインターネットと接続されることによって、これまで埋もれていたデータをサーバ上で、処理、変換、分析、連携することが可能になります。IoTは私たちの身の回りで既にスマートスピカ―、セキュリティカメラ、自動車のデバイス等様々なものが実用化され便利に使われています。

このような IoT の技術を活用することによって、これまでに無かった、より高い価値やサービス生み出すことが可能になります。また、センサーやデバイスといった機器、通信インフラ、クラウドサービスの高性能化、低価格化が追い風になり、IoT の導入がより身近なものになってきています。

 

M2Mとは

M2Mは「Machine-to-Machine」の略で、人が介在することなく、機械同士が相互に情報をやりとりすることです。M2Mでは機械同士の情報のやりとりを指しており、その先にある情報をインターネットやクラウドに送るところまでの機能はありません。機械同士が直接データをやり取りするため、作業の自動化・効率化が行えます。流通事業やビル、機器管理、工場におけるファクトリー・オートメーション分野、自動車などのテレマティクス分野、ホーム・オートメーション分野など様々な場面での活用が考えられます。

実用化されている例としては、飲料の自動販売機の在庫補充システム等があります。以前は人が回って在庫を確認し、足りない在庫を補充していっていましたが、現在は自動販売機がM2M化され、センターの在庫管理システムと自動連係し、足りなくなった在庫を通知し、センターの配車システムが補充車の運行スケジュールを自動調整し、効率的に補充させています。物流の現場でもトラックの最適配置や運行管理を統合的に行うシステム等が取り入れられています。

 

IoTとM2Mの違い

つながるものの違い

M2M:インターネットによる通信の他、機械と機械が直接通信する
IoT:モノが“インターネットを通して”別の装置や設備、または人とつながる

 

つながる方法の違い

M2M:インターネットによる通信の他、機械と機械が直接通信する
IoT:モノが“インターネットを通して”別の装置や設備、または人とつながる

 

活用目的の違い
M2M:機械からの情報収集または機械の制御
IoT:情報の収集・共有・活用→ビッグデータの活用へ

 

センサーネットワークとビッグデータが変える未来

M2Mの場合、単に機器同士が通信するだけではなく、場所や種類問わず、全体を構成するシステムの中で、あらゆる情報を統合してさまざまな成果に結びつけることができるようになっています。最近M2Mが特に注目を浴びるようになったのは、センサーネットワークの発達です。M2Mを支えるセンシング技術が向上し、安価で小型、高性能なセンサーが大量に出回るようになりました。商品にセンサーを内蔵することのハードルが下がり、あらゆる商品にセンサーの内蔵が可能になりました。

また、LPWA(Low Power Wireless Access)等の小電力で信頼性の高い通信技術の発達により、センサーネットワークの構築が簡易にできるようになりました。センサーネットワークによって、センサー同士が互いに繋がり、情報を収集する技術が急速に実用化されています。このセンサーネットワークから収集されてアップロードされた全てのデータが「ビッグデータ」と呼ばれるものです。IoTは機械同士の情報をインターネットやクラウドサーバーに情報を集めてビッグデータ化します。つまり、IoTはM2M、センサーネットワークを包括し、インターネットを介してビッグデータとして蓄積する広い領域を担っています。IoTとM2Mを共に活用すればビッグデータを活用できるという最大のメリットをcすることが可能です。 

 

その他M2Mのもたらすメリット

  • 正確な機械の制御が可能になる

M2Mによって機械同士がデータをやり取りできるようになることで、精密な作業や複雑で煩雑な作業が人の手を介さずに実現できます。高度な操作を機械が自動判断して実施できるようになります。これは人為的ミスの削減にもつながります。

  • 未然に故障や障害を防ぐ

工場や発電所などの大規模施設(プラント)に多くのセンサー類を配置し監視することで、故障の予兆を分析し、故障に至る前に設備の不健全な状況が把握できます。故障発生時の原因調査においても、保全員の経験やスキルに頼っていることがあり、故障原因の追究に時間が掛かる場合もあります。そうした課題も、M2Mでは効率よく解決できます。

  • 常時情報の監視が行えるため、効率のいい制御が行える

M2Mによって機械を自動制御することにより、効率面でのメリット向上と、人員の削減が可能です。工場やプラントなどの生産現場では、エンジニアやオペレーターは機器の操作・保守のために膨大なデータの中から必要なテクニカルデータを見つけ出すことに多くの時間を費やしています。M2Mでは個々のスキルや経験に頼らず、効率の良い運用が可能になります。

例えば農業分野では、様々なセンサーに通信モジュールを搭載し、温度、湿度、日照量、雨量などを遠隔で監視します。それにより質の高い農作物の育成、生産性向上、生産(栽培)コストの削減につながります。その他、今までにない新しいビジネス、製品が生まれる可能性も秘めています。

 

IoTやM2M抱える課題

M2MやIoTは非常に便利なテクノロジーですが課題もあります。IoTデバイスへのサイバー攻撃は、マルウェアなどを介してPCやスマートフォンといったデバイスへの侵入を果たし、そこでやりとりされる個人情報や企業機密を盗み出す行為の他、侵入したデバイスを踏み台に、さらに他のデバイスや企業内サーバへの侵入を試み、より多くの情報を盗み出したり、直接的な損害を与えたりするパターンがあります。総務省が作成した「平成30年版 情報通信白書」によれば、全サイバー攻撃の半数以上がIoTデバイスを標的にしています。IoTが狙われる要因は無防備につながっていること、SIMなどの規格の問題があげられています。

こうした課題を解決するには、ソフトウェアだけで実現するのは無理で、サーバや通信、クラウド、モバイル機器やその上で動くファームウェア、さらには物理的なセキュリティも含めて実現していく必要があります。その対応すべき範囲が広いので、それらに個別に対応していこうとするために、コストや運用負荷をはじめとするさまざまな課題が生じてしまいます。解決法としては、こうしたセキュリティ対策を統合的に実施できるベンダーのサポートを受けたり、クラウドベースやAPI等のソリューションシステムを導入したりすることも有用です。

 

さいごに

2020年には、世界中で500億台以上のモノがインターネットに繋がると言われています。それらが情報を送ると、インターネットには膨大なビッグデータが蓄積されることになります。この膨大なビッグデータこそ、企業にとって価値を生み出します。企業はこうしたプラットフォームを活用することによって、足回りやセキュリティ、管理の部分にお金や手間をかけず、価値を生むところにフォーカスできるようにしていくべきでしょう。