話題のChat(チャット)GPT、そのメリットとリスクを徹底分析

Chat(チャット)GPTについてご存知でしょうか?Chat GPTは、公開2カ月で世界での利用者が1億人を突破した今話題の対話型AIツールです。質問や命令などをテキストで入力すると、それに応じた答えを返してくれる便利さゆえに様々な業界やビジネスの場面で活用されている反面、悪用の危険性やリスクについても指摘され始めています。

本記事では、Chat GPTの概要や活用事例に加え、悪用の可能性やリスクについて解説します。Chat GPTを代表に、AI技術が発展している現代で対応すべき課題についても紹介するので、AIの活用やセキュリティ対策を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

Chat GPTとは?

Chat GPTについて説明する前に、まずそのベースとなるGPTについて理解しておくことが必要です。GPT(Generative Pre-trained Transformer)とは、大量のテキストデータから言語学習を行い自然言語処理を用いたテキスト生成が可能な言語モデルで、AIを研究するアメリカの非営利団体のOpenAI社が開発したものです。自然言語処理とは、人が日常的に使っている会話(自然言語)を機械に処理させる一連の技術のことで、人によって書かれたものと判断されるような自然な文書を作成することができるという点で、日常生活に幅広く活用されると予想されるAI技術の一つとして注目されています。

Chat GPTは、このGPTモデルをベースにしたチャットサービスで、Chat GPTはチャット風のインターフェースで使うことができ、質問することで対話による回答を得ることができます。Chat GPTの魅力は、質問文を自然に理解し、違和感のない文章で返答する、精度の高いやりとりです。これまでのAI技術に見られた不自然な文章表現なく、より自然なやり取りができます。また、Chat GPTは多言語に対応しているだけでなくコードの生成も可能で、IT業界でも利用に注目が集まっています。

現在一般公開されているChat GPTはGPT-3.5ベースに構築されています。ちなみに、2023年3月15日、OpenAI社はGPT-3.5に比べ更に高度化されたGPT-4を公開しました。様々な専門的及び学術的なベンチマークで人間レベルのパフォーマンスを示すといわれています。現在GPT4基盤のChat GPTは有料で利用できます。

従来のチャットボットとの違い

Chat GPTと従来のチャットボットとの違いは、より自然な文体で対話を行うことができる、という点にあります。Chat GPTは人間の言語処理能力を模倣することで実現されています。人との対話のように、過去のやりとりを覚え、フォローアップの質問に答えたり、間違いを認め、間違った前提に挑戦し、不適切な要求を拒否することもできます。従来のチャットボットが事前にプログラムされた質問や回答に基づいて対話を行うのに対し、Chat GPTはより人間に近い自然な対話をすることができます。

また、Chat GPTは大量のデータを学習しているため、多様なトピックに対応することができます。人間が書いた文章を学習するため、人間が使用する表現やニュアンスをより正確に理解することができます。これにより、より柔軟かつ自然な対話が可能となります。

簡単に言えば、Chat GPTは人間との自然な対話を可能にするAIチャットボットであり、従来のチャットボットと比較して、より自然で多様かつ正確な情報を基にした対話が可能です。

Chat GPTの活用事例

Chat GPTは様々な業界で活用され始めています。例えば、以下のような活用事例があります。

カスタマーサポート

Chat GPTを利用して、自社製品やサービスに関する問い合わせに対応するカスタマーサポートを提供することができます。Chat GPTは24時間365日対応ができ、自動応答によって、短時間で顧客の問題を解決することができます。

自動文章校正

Chat GPTは文章校正にも利用されています。コンテンツやビジネスメールなど、正確で分かりやすい文章が求められる場合に、誤字脱字や文法の間違いを検出・訂正することが可能です。これにより、ビジネスの場面でより正確な文章表現が可能となります。

市場調査

Chat GPTを使って、業界の動向や市場推移といった業務を自動化することもできます。マーケティングの場面において、市場調査は重要な意味を持つタスクです。しかし市場調査は、大量の情報収集と処理を必要とする手間のかかる作業です。Chat GPTを使うことで、そうした手間のかかるリサーチ業務を自動化できます。

Chat GPTのリスクと悪用の可能性

Chat GPTはその便利さで注目されていますが、利用者が増えるにしたがって、悪用の可能性も指摘されています。カナダの情報セキュリティ会社のブラックベリーは、Chat GPTがサイバー攻撃に悪用される可能性についてアンケートを実施し、その結果を発表しました。今年の1月に実施されたこのアンケートには北米、イギリス、オーストラリアのIT専門家約1500人が参加し、その中の78%が「Chat GPTの功績と認められるサイバー攻撃が今後2年以内に起きる」と回答しました。

Chat GPTの場合、基本不適切な要求は拒否するように学習させていますが、特定のコードを書かせたりすることは十分可能であるため、悪性ウイルスを作るためのコード作成など、サイバー攻撃に利用されるという懸念があるということです。

そこで、Chat GPTに関わる代表的な3つのリスクと悪用の可能性について解説します。

  • フィッシングへの悪用
  • 悪性コードの作成
  • 風評被害につながる恐れ

フィッシングへの悪用

Chat GPTは自然な対話を実現しているため、サイバー犯罪者がユーザーから情報をだまし取るために利用される可能性があります。例えば、「スピアフィッシング」と呼ばれる攻撃手法があります。ターゲットとなる人物のプロフィールを調査し、そのターゲットに狙いを絞ってフィッシング詐欺を図る攻撃です。ターゲットの情報を基に、Chat GPTで巧妙に作られたフィッシングメールを送り付ける事例が報告されています。

悪性コードの作成

Chat GPTを使えば、ビジネスに役立つプログラムのコードを生成することもできます。その反面、悪意のある人物によって悪性コードを作成するために利用される可能性も否定できません。Chat GPTを用いて自動的に悪性コードを作成し、システムに侵入するための脆弱性を突く、といった攻撃への注意も喚起されています。

風評被害につながる恐れ

Chat GPTは、人工知能を用いた自然な対話を可能にするため、不適切な発言や情報を拡散する可能性があります。例えば、Chat GPTが人種差別的な言葉を使用すると、その情報が拡散され、社会的な風評被害を引き起こす可能性があります。

Chat GPTの安全性を確保するためには、精度をさらに高め、悪用される可能性を最小限に抑えるための努力を続けなければなりません。 そして、利用者としては常に情報の正確性や悪用の可能性にも気を遣っていかなければなりません。

Chat GPTの限界と今後

Chat GPTは便利なツールですが、限界も指摘されています。まず、Chat GPTはあくまでも自動応答のためのツールであり、人間と同様の論理的思考力や判断力は備えていない、という点です。そのためChat GPTには限界があり、複雑な問題には対応できない可能性は否定しきれません。また、Chat GPTが生成する応答には、誤った情報や不適切な発言が含まれる恐れもあり、倫理的な問題にも今後対応していかなければなりません。

Chat GPTの今後については、技術のさらなる発達が予想されています。より多くのデータを用いた学習や高度な自己学習技術など、技術が発達することで活用範囲もさらに広がることが予測されます。

もちろん、こうした予測はChat GPTに限った話ではありません。AIがITのトレンドとなっている昨今、AIを活用した様々なサービスや製品がリリースされています。現状ではそれぞれに技術的な面での課題はありますが、今後さらなる発展と普及が予測されます。

Chat GPTを代表に、各種AI技術については今後、リスクや倫理的な問題、セキュリティの問題への対応も求められています。AI技術の発展は確かに便利ではありますが、こうした課題にも対応していかなければなりません。

まとめ

本記事では、今話題のChat GPTについて解説しました。Chat GPTはAIを使ったツールで、様々な場面での活用が期待されています。便利さが注目される反面、セキュリティなどに関するリスクや課題も指摘されており、今後そうした課題に対応していかなければなりません。

Chat GPTに限らず、AI技術の発展が目覚ましい昨今、技術の発展だけでなくセキュリティへの対応も検討していかなければなりません。