仮想通貨(暗号通貨)の仕組みと安全性に関するメリット・デメリットについて

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 仮想通貨の仕組みと安全性に関する

メリット・デメリットについて

 

ビットコインを始めとする仮想通貨は現在世界中で活発に取引されています。仮想通貨は危険だとか、どういうものか分からないと漠然と不安を抱えている人もいるかもしれません。そこで、今回は、仮想通貨は円や電子マネーとどう違うのか、仕組みはどうなっているのかなど概要の他、デメリットや危険性についても解説していきたいと思います。安心して仮想通貨の取引を行なうためにも、仮想通貨の危険性をしっかり理解しておくことが大切です。

 

仮想通貨の仕組み

 

まず仮想通貨とは何なのかというと、大きな特徴は以下の2点となります。

 

中央銀行や政府などの国家が主体となって発行していない

・暗号化されたデジタル通貨で紙幣や硬貨といった形を持たない

 

法定通貨ではない仮想通貨の定義

 

仮想通貨の大きな特徴は、まずは国家が主体となって発行していない通貨という点にあります。通常の円(日本銀行券)やドルなどの貨幣は、発行する国家によって価値の保証がされ「法定通貨」と呼ばれています。一方で仮想通貨は法定通貨として、国家による価値の保証がされていません。定義的には電子的に交換する「電子データ」に過ぎませんでした。

 

しかし、普及に伴って交換、送金、決済、融資といった法定通貨と同じ機能と価値が備わり、経済的価値を有するようになりました。その流れを受けて仮想通貨を法的に定義する動きが日本でも生まれました。

 

 

資金決済に関する法律(資金決済法)」第二条5

 

    一.物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

    二.不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

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こちらの2017年4月に施行された改正資金決済法第2条第5項によって、仮想通貨は「移転可能な財産的価値のあるもの」と定義されています。役割的には法定通貨と変わらないと言えるでしょう。

 

暗号化されたデジタル通貨

 

仮想通貨の次の特徴として、暗号化されたデジタル通貨という点があります。コンピューターのネットワークを利用して通貨を管理する仕組みで取引記録が可視化され、さらに公開鍵暗号ハッシュ関数等の暗号化技術によって仮想通貨の偽造や二重払いなどを防止しています。

 

最もポピュラーな仮想通貨である「ビットコイン」を例にとっていうと、ブロックチェーンと呼ばれる分散されたコンピューターのネットワーク上で取引を管理する仕組みがあります。1つの大きな取引台帳を特定の管理組織に置くのではなく、各ユーザーのコンピューターに置いて管理するシステムによって、法定通貨のように中央銀行などの組織が管理しなくても流通の整合性が保証されるようになっています。

 

仮想通貨のメリット

 

このようなブロックチェーン技術を用いた仮想通貨取引のメリットは次のようなものがあげられます。

 

・分散管理で中央集権を防ぐ

 

権限が分散されるので、特定の管理者・組織にコントロールされません。法定通貨の場合は、クーデターや戦争などで通貨取引が制限されたり価値がなくなったりする場合もありますが、仮想通貨の場合はそのようなリスクがありません。また、分散管理によりシステムダウンのリスクも避けられます。

 

・海外送金のしやすさ

 

特定の金融機関を通すことなくユーザー同士直接の海外送金が可能なので、送金コストの大幅な削減も可能です。

 

・契約の効率化

 

スマートコントラクトという技術によって、第三機関を通すことなく、約定照合や契約状況の把握が可能になるため、契約の効率化につながります。暗号化や分散化の技術によってデータの改ざんも不可能になるため、契約内容の改ざんも防止できます。

 

仮想通貨の問題点 

 

以上仮想通貨は法定通貨に代わるような理想的な通貨にも思えますが問題点がないわけではありません。

 

・ハッキングによる紛失の可能性

 

最初にセンセーショナルに世間を騒がしたハッキング被害と言われているのが、85万ビットコインと28億円(総額約500億円)もの預かり金を紛失した2014年のマウントゴックス事件です。その4年後にはCoincheckで仮想通貨NEMの大規模流出事件が起きました。度々起きる大規模なハッキング被害で「仮想通貨=安全性が低い」という印象も広がっています。

 

仮想通貨自体は暗号化されており、暗号を複合する鍵はネットワーク上でやりとりされていないので安全性が高いものと言われています。したがってこれまで起きている被害は仮想通貨そのものによる不具合ではなく、ほとんどか取引所のセキュリティ問題で引き起こされています。仮想通貨取引を行うならば、安全性の高い取引所を選択するのは不可欠です。

 

・価値の保証がない

 

政府や中央銀行による保証がないと言うことは、万一トラブルが起きた場合の保証は一切されないという事です。送信先を一文字間違って誤送信してしまったら、取り戻すことはほぼ不可能でしょう。

 

また取引所がサービスを一方的に制限して急に出金できなくなるトラブルや、最悪倒産して預けていた仮想通貨が失われる危険性もあります。銀行なら万一倒産しても、法律で最大1000万円まで国によって補償されています。しかし仮想通貨の場合はそのような補償を受けることはできません。現在世界中に大小様々な取引所が存在しています。信頼のおける取引所を見極め、また万一の紛失や倒産にも自分で対策を取る必要があります。

 

リスクを回避するポイントとは?

 

仮想通貨の問題点ではいずれも、仮想通貨そのものではなく、取引所のセキュリティや信頼性が問題になる事を説明しました。それを踏まえて、少しでも安全に取引を行うポイントをまとめると以下のようなことがあげられます。

 

  • 金融庁から正式に認可を受けていること
  • 一つではなく複数の取引所に分散する
  • 取引所に全財産を預けるのではなく自分でウォレットを用いて管理する

 

金融庁の認可基準は非常に厳しく、定期的に検査も行われます。それでも問題を起こしてしまった場合は厳しい指導や処分が下されます。ですから金融庁の認可を受けている取引所をなるべく利用する方が、安全上望ましいでしょう。またリスクの分散も有効です。一つの取引所がハッキング被害を受けてしまっても、分散していれば全財産を失うことはありません。また

 

そして仮想通貨の管理も全て取引所任せにするのではなく、自分でネット接続されていない環境下でウォレットに保管する事も重要です。Coincheckのハッキング被害では、コールドウォレットではなくインターネットに接続された状態のホットウォレットに取引所が仮想通貨を保管していた事も大きな原因の一つとされていました。ネットにつながっていれば、ハッカーに狙われる可能性は0ではありません。自分で仮想通貨用のウォレットを持って保管すれば、ハッキング被害から財産を守ることも可能です。

 

他にも仮想通貨の送金ミスを回避するには、アドレスを手入力することを避け、コピー&ペーストするかQRコードの読み取りさせるなど注意を払う必要もあります。

 

最後に

仮想通貨は決して危険なものではありません。仮想通貨の背景には様々な高度な技術が関わって運用されているからです。仮想通貨の安全性については今後もシリーズで詳しくお届けしていく予定ですが、デメリットを理解したうえで、リスクを最小限に抑える対策をきちんと取れば、仮想通貨は決して危険なものではありません。大切なのは常に情報収取を重ね、リスクに対する動向に注意を払っておく事です。

 

 

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