ビジネスにおけるブロックチェーン活用に向けた取り組みと今後の展望は?

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ブロックチェーン業界は13年目に突入しており、今や社会実装フェーズから商用化フェーズへと突入しているといった状況です。そこで、2021年のブロックチェーン業界のトレンドを考察していきます。

 

テクノロジートレンド

ここで言う「テクノロジー」とはブロックチェーンに関する開発の現状を意味しています。ブロックチェーンはインターネットのような大多数に普及が進んでいると発言することに抵抗がある状況です。これには根幹を成す機能が開発中で、改善の余地が多大にあることが大きく影響しています。

 

ブロックチェーンには、ビットコインイーサリアムのような暗号資産(マイニング)で代表されるパブリックチェーンとプライベートチェーンの2種類が存在します。

 

イーサリアムが次期フェーズへ

暗号資産の中では有名なビットコインイーサリアムですが、イーサリアムは2020年に過去最大のアップデートに成功しました。「イーサリアム2.0」とも呼ばれる開発プロジェクトでは、現状において内包する処理性能の低さの全容を解明するために開発が進められています。「Web3.0」を実現させるには処理性能を絶対に向上させる必要があるため、米国を拠点として世界中の開発者がこれに携わっているのです。

 

世界的にもブロックチェーンを使った事業がまだまだ少ないのは、あとで述べるこうあるべきだと決められた規則の影響と処理性能が不足していることでほぼ全てを解きあかせます。イーサリアム2.0が完了することによって、Web3.0が到来することを意味すると言っても決して大げさな表現ではないでしょう。

 

異なるブロックチェーンをつなげる相互運用性

これまでの間もこれから先もイーサリアムは大規模アップデートを繰り返していくことになっています。過去の遅れを顧みると、いくばくかまだ見ぬ未来への不安要素が払拭できていないことも実情です。そんなイーサリアムを横目で見ながら、最近になっていくつかのプロジェクトが異なるブロックチェーンにシステムをシフトする状況が目に見えてきています。

 

厳密な意味ではイーサリアムにおいてもサービスを機能させつつ、異なるブロックチェーン上でも機能させるといったシチュエーションです。具体的には、バイナンススマートチェーン・ソラナといったブロックチェーンが認知度を上昇させています。ここで障壁になるのが複数の企業によって構築された、サービスを取り巻く共通の収益環境の分断です。現状において、イーサリアムとソラナには互換性がないため、それぞれで機能しているサービスで取り扱っている資産を相互に動かせません。

 

この互換性のことを相互運用性といいますが、異なるブロックチェーン同士は現状において相互運用性を有していないのです。言い換えれば、イーサリアム上においてはビットコインを管理できず、反対にビットコイン上においてはイーサリアムを管理できません。この問題に取り組んでいるのがポルカドットやコスモスというプロジェクトで。複数のブロックチェーンをつなぐ中核としての機能を持っています。仮に、イーサリアム2.0の開発に遅れが生じた場合、他のブロックチェーンが市民権を得るようになることが予想されます。そうなった場合、ポルカドットやコスモスという名称を目の当たりにする機会も増えていくはずです。

 

ビジネストレンド

ここでは2021年に一定の市場を作り出すであろうトピックについて取り上げます。これらのトピックでどのように技術や知識を収益化できるのかについてを考察していきます。

 

CBDCは商用化フェーズへ

CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、2019年のリブラ誕生と共に中国が世界の最先端をいくようになりました。日本や米国では2020年に入って議論が進んでいましたが、いずれも発行には至っていません。中国では既に実際の場面で使用して、実用化に向けての問題点の検証を終えて実用化のフェーズに入っていることから、商用化が現実のものとなることが予想されます。

 

対する米国では、デジタル通貨に対する興味が薄かったトランプ氏に代わって、こういった分野に強い意志を持つバイデン氏が先導することとなったため、意思決定を確かめられると考えています。日本においてはCBDCの是非に関する議論を開始すると表明しているため、発行が具体化されるのは2022年以降であると言い切ってよさそうです。

 

CBDCが注目されている理由のひとつは、やはりそこに巨大な市場が形成されているからです。想像しやすいのがCBDCに関する開発リソースの必要性で、CBDCを中軸とした決済システムが立ち上げられる場合には民間も対応しなければならなくなります。多くの日本企業においては、今なお決まりきったように外注文化が揺るぎなく残存していますが、CBDC人材をたくさん擁することによって一定の事業を作り上げられるでしょう。

 

技術や知識を収益化する中心はエンタープライズブロックチェーン

CBDCを内包する法人向けのブロックチェーン・ソリューションを供給するのが、エンタープライズブロックチェーンという領域です。CBDCは一概にブロックチェーンを使用するわけではありませんが、他と比較して能力が上である中国のCBDCではブロックチェーンが採択されています。もし米国がブロックチェーンベースのCBDCを発行する場合、日本もこれらに一致させる必要があるでしょう。

 

企業がブロックチェーンを利用して何かビジネスを立ち上げる場合は、市場独占して取り組みを進めることに対して賛成しない方がいいでしょう。ブロックチェーンはデータを分散的に管理する仕組みであるため、閉鎖的な形態でできることはどうということは無いのです。この前提の元に盛り上がりそうなのが共同事業体の設立です。2020年には既に不動産や物流の領域で共同事業体が立ち上がっています。どういうことかと言うと、ブロックチェーンはパブリックなものを利用して、それを主体となってコントロールするのが共同事業体という形となるのです。

 

自社内でできることに限界がきた場合、提携という形で他社を引き入れて事業の幅や範囲を広げてきたのは当然の帰結となります。こういう時にデータの管理方式や権限の設定が難点となることが少なくなく、なかなかすんなりと事業の取り組みを進められていないのが実情です。ブロックチェーンであれば、プロトコルに従ってデータを管理し、権限を自由に設定できるようカスタマイズすることで従来の問題は容易に解決できます。

 

スケールの大きいポテンシャルを持つセキュリティトーク

2020年5月に施行された改正金融商品取引法により、日本でも公式にセキュリティトークンの取り扱いが可能となりました。セキュリティトークンは、額面通り有価証券をデジタイズしたものであり、有価証券の発行市場に対する流通市場を創出するといった、大規模なマーケットを作り上げる可能性を秘めています。

 

さらにイニシャル・コイン・オファリングが詐欺の温床になってしまった結果、誕生したのがセキュリティ・トークン・オファリングは、定められたマーケットを仲立ちとすることで投資家は審査されたセキュリティトークンにアクセスできます。少額からの投資が可能となりグローバルでアクセ可能となったため、ある程度の市場規模に成長しそうな雰囲気を持っています。

 

ビジネスモデルとして既に企画立案して始動しているものは、株式や暗号資産と同様に取引所やセキュリティ・トークン発行の専門知識を持ち、相談・診断する業務です。なお、セキュリティ・トークンに関しては、改正金融商品取引法によってライセンス制が整備されたため、新たに加わることが気軽にできなくなった点には留意することが必要です。

 

まとめ

ブロックチェーンを活用した取り組みが活発になっていますが、ブロックチェーン業界は依然として「規制」されるといったイメージのままです。これは多分、ブロックチェーンを使った最初のアプリケーションである暗号資産によて印象付けられたものとなっているものと思われます。実際、近年になって暗号資産の流出や暗号資産取引所がハッキングされるなど様々な事件が相次いで発生しました。しかし、「安全性」に対する問題が解決できたら、ブロックチェーンを取り入れようとする取り組みは更に活発になるでしょう。

 

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