続々参入中のQRコード決済市場、その仕組みから導入メリットまで一気に解説

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続々参入中のQRコード決済市場、

その仕組みから導入メリットまでいっけに解説

 

世界のキャッシュレス決済の普及率は、2016年時点で韓国では96.4%、イギリスでは68.7%、アメリカも46.0%と、高い比率で導入されています。一方19.8%と遅れをとる日本も2020年に開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、政府主導でキャッシュレス化を40%まで高めようと進められています。

 

キャッシュレス決済には、クレジットカードや電子マネーデビットカードといった種類がありますが、その中で、今QRコード決済に注目が集まっています。「LINE Pay」「PayPay」「メルペイ」といった〇〇ペイという単語を近頃よく耳にすると思います。これらはQRコード等を利用するスマホ決済のサービスです。今回は、参入が相次ぐQRコード決済の仕組みやメリット、代表的なサービスなどをみていきたいと思います。

 

乱立状態の〇〇ペイ決済市場

2018年はスマホ決済が本格始動した年であり、「スマホ決済元年」と称するメディアも現れました。まず携帯キャリアではNTTドコモの「d払い」が先行してサービスを開始しました。楽天やLINE等の大手事業者も「楽天ペイ」「LINE Pay」をスタートさせ、大手コンビニエンスストアチェーンや大手家電量販店チェーンなどに相次いで対応しました。

 

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引用:https://paypay.ne.jp/promo/10billion-campaign/

 

そして最も話題になったのが、ソフトバンクとヤフーの合弁会社による「PayPay」が2018年12月に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」です。20%還元をうたったこのキャンペーンは社会現象的にニュースでも報じられ、一気にスマホ決済への関心が高まりました。

 

今年に入ってからも2019年2月メルカリがスマートフォン決済の「メルペイ」の提供を開始し、2019年3月にはQRコード決済にも対応させています。4月には、KDDIQRコード決済の「au PAY」を開始したほか、2019年7月にはセブン&アイ・ホールディングスが「セブン・ペイ」を開始予定であるなど、現在も新規参入が相次いでいます。

 

すでに参入している「PayPay」は今年2月にも最大20%バックの100億円還元キャンペーン第2弾を実施中、「LINE Pay」も4月18日より、「平成最後の超Payトク祭」と称して、やはり最大で20%を還元するキャンペーンを実施しています。各社一斉に普及に努めるスマホ決済市場は現在乱立し、熾烈な競争を繰り広げています。

 

QR決済の仕組み

それでは実際にQR決済の仕組みをみてみましょう。一般的に、QRコード決済は2通りの方法があります。

1.お客がQRコードを提示する

お客がスマホで自身のQRコードを表示させる

お客がQRコードをお店側に見せる

お店がQRコードをスキャンする

 

2.店側がQRコードを提示する

店側がお客様に支払い金額を読み込ませたバーコードを提示

お客がスマホのカメラを立ち上げる

お客がスマホカメラで支払い金額のバーコードを読む

お客がスマホ上で決済

 

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利用者は、スマーフォンのカメラで店側のQRコードを読み取るか、スマートフォンの画面に表示されるバーコードを店側に読み取ってもらい、アプリに紐付けられたクレジットカードや、事前にチャージした電子マネーなどで支払いを行います。

 

店舗はスマホiPadなどのコードレス端末に店舗用アプリをインストールして、QRコードの提示やお客様のQRコード読み取り等を行います。QRコード決済を利用するにはインターネット環境が必要になるため、導入店舗はインターネット環境を整備する必要があります。

 

買い物をするユーザーにとってはQRコード決済を使ってスマートフォン一台で買い物ができてしまう便利さに加え、新規参入する事業者が繰り広げるキャンペーンによるお得感でぜひ使ってみたいと思うお客さんも多いはずです。それでは店舗にとってのメリットを次項でみてみましょう。

 

QRコード決済を導入するメリット

楽天ペイ:楽天カードホルダーに高還元

決済はアプリに登録したクレジットカードで支払う。200円(税込)につき1ポイントがたまる他、楽天カードを登録すれば、100円で1ポイントがさらにたまる。ためたポイントで支払うこともできる。電子マネー楽天Edy」、QRコード決済「楽天ペイ」、ポイントサービスの「楽天スーパーポイント」の3つを1つのアプリで管理できるようにする他、楽天Edyと残高を統合する予定。ローソンやファミリーマートミニストップ無印良品やTOHOシネマズなどで使える。

 

・LINE Pay:3.5%~5%の高い還元率でポイントバック

他社のように専用アプリは用意されていない。決済するには、銀行口座やコンビニのレジなどで事前にチャージする必要がある。決済方法は、LINE Payカード、コード決済、オンライン決済の3種類。2018年8月から2019年7月までの1年間は、LINE PayでQRコード決済を利用した場合に限り、ポイント率が3%上乗せされ、3.5%~5%の高い還元率で利用可能。ローソンやファミリーマート、ウエルシア、ビックカメラジョーシンZOZOTOWNHMVなどで使える。また電気料金だけでなく税金などの支払いも可能。

 

・d払い:ドコモ携帯料金と合算で決済

dポイントの加盟店を中心に大型店舗での対応が広がる。d払いでは、200円(税込)につき1ポイントがたまり、1ポイントにつき1円から支払いに使える。ローソンやファミリーマート、ウエルシア、アマゾン、高島屋タワーレコードなどで使える。毎週金曜日と土曜日にdポイントが最大6倍進呈されるキャンペーン等をうちだしています。

 

・メルペイ:メルカリの売上金・ポイントが利用可能

メルカリの売上金・ポイントがそのまま買い物の支払いに利用できる。またカードでチャージはできず銀行口座を登録してメルペイにチャージして利用。メルペイをリアル店舗で利用するには、Apple Pay対応のiPhoneが必要。ポイント還元は行っていないが、大手コンビニセブンイレブンのおにぎりや揚げ物が税込み11円で購入できるクーポンの配布といったキャンペーンを行っている。

 

これらのキャンペーンの費用やポイント還元費用は決済事業者が負担しているので、店舗には集客コストがかかりません。サービスが豊富なQRコード決済を導入しておくだけで、ポイントを活用したいお客を呼び込んでくれる集客効果が見込めます。またQRコード決済を利用してくれたお客へクーポンやキャンペーン情報配信等のサービスもできます。LINE Payの利用なら、LINE@の友達申請でLINEアカウントでのつながりを持ち、今後のリピーター獲得などのアプローチにも利用可能です。

 

購入履歴のデータ管理

QRコード決済を利用した場合の購入履歴や売上を、アプリでリアルタイムに管理することができます。またシステムによってはデータの集計を自動的に行ってくれる機能を搭載しているものがあります。例えば「Origami Pay」の場合、店舗用アプリのダッシュボードで売上データが確認できるだけでなく、Origami Payによる支払いのうち、新規顧客や休眠顧客のデータを抽出できたりします。

 

他にも現金のやり取りでは釣り銭を間違えたり、小銭を落として紛失したり、ヒューマンエラーがつきものです。しかしQRコード決済ならシステムに入力した金額がそのままお客様への請求額になり、実際のお金の動きと記録の間で差異が発生しにくくなります。キャッシュレス化することでミスの発生原因を減らすことが可能になります。

 

最後に

2019年10月の消費税率10%引き上げに合わせ、キャッシュレス決済を利用した際は2%のポイント還元を実施することが検討されています。BtoC企業は特にこうした官民一体の施策に敏感になって、QRをはじめとするキャッシュレス決済手段の新たな導入など進めていく必要があります。QRコード決済の導入に際しては、導入コストや決済手数料だけでなく、付随する機能もチェックすることで、自社や店舗のマーケティング活動の幅も広げていけるかもしれません。