仮想通貨は弱気市場から脱するのか?世界的金融機関や企業の動向から探る仮想通貨の成長可能性

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世界的金融機関や企業の動向から探る

仮想通貨の成長可能性

 

多くの仮想通貨が80%~90%の価値を失うような市場が継続し、仮想通貨相場は一年以上に渡り弱気相場を形成してきました。そうした中、ナスダック、フィデリティ、セコイア・キャピタルバイドゥといった世界的な企業が、仮想通貨市場に巨額の投資を行っている動きも見られます。今回はこうしたファンダメンタルを分析し、今後の仮想通貨市場の成長性や可能性を検証していきたいと思います。

 

 

世界的金融機関の仮想通貨市場への参画の動き

  • ナスダックCEOの発言と投資戦略

Forbes Japanの記事によれば、ナスダック最高経営責任者(CEO)のアデナ・フリードマンは市場での仮想通貨の取り扱いに前向き発言をしています。

 

フリードマンCEOは出演した米CNBCテレビのインタビューで、「仮想通貨の取引は、今後も継続されていくだろう…問題は、成熟するのにどれくらいの時間を要するかという点だ」「…規制された取引市場を創設したいかどうか──。もちろん、ナスダックはそれを検討するだろう」と述べた。

ナスダックはすでに、仮想通貨関連のビジネスを支援している。4月25日には、米国の仮想通貨取引所ジェミニとの提携を発表。また、ブロックチェーン企業に限定した上場投資信託ETF)を運用するリアリティー・シェアーズとも提携している。ビットコイン先物を上場させることについても検討中だ。 2018年4月26日

引用:https://forbesjapan.com/articles/detail/20838

 

この発言を裏付けるように、2018年12月にはナスダック・ベンチャーズ仮想通貨取引所ErisX(エリス・エックス)へ投資を行うといったニュースがロイターから報じられました。ErisXへの投資はナスダック以外にもフィデリティ・インベストメンツ、ビットメイン、Cboeといった大手企業の他日本のマネックスグループ等21社が参加し、総額2,750万ドルに上ります。

 

Eris Xのパートナー

出典:https://www.erisx.com/#section-partners

 

蒼々たる世界的企業が戦略的パートナーとして参画するErisXは米規制当局の承認を待っている段階で、本年中にはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)のスポット取引や先物取引の開始を予定しています。

 

  • ビットメイン社CEOであるジハン・ウー氏の発言

ナスダックと共にErisXへ投資する大手マイニング企業ビットメイン社のCEOであるジハン・ウー氏は

我々の顧客の多くが様々なヘッジングができるソリューションを求めている為、米国の規制に準拠した形で現物や先物取引を提供するErisXの様なプラットフォームは大歓迎だ。この戦略的なパートナーシップを有益だと感じるだろう。

と発言しています。数々の有名・大手企業が発足予定の規制に準拠した仮想通貨商品を提供する取引所ErisXに出資している事は仮想通貨への関心度や興味の高さを示しています。

 

昨年末から大手金融機関をはじめとした企業の大きなファンダメンタルズが既に出ている為、多くの専門家が2019年の第1四半期(1月~3月)を仮想通貨の市場回復の時期として見込んでいると予想していました。それを裏付けるかのように先日ビットコインが突如として急上昇しました。ビットコインは4月2日のUTC12:00頃から上昇をはじめ、その後3日間に渡り上昇を続けました。4月4日には2018年11月以来となる5,000ドルを突破し、今年最高値となる5,300ドルに到達しました。その後は押し戻され、現在は約4,900ドルで取引されています。

今回のビットコイン急上昇の要因は専門家が多様な意見を挙げていますが、確実な要因は定かではないとされています。しかし、昨年末からの世界的金融機関の仮想通貨市場への参画の動きを追っていれば、不思議ではないとも言えます。

 

 

加速するブロックチェーンプロトコルへの投資

グローバル・ブロックチェーン・ビジネス協議会(GBBC)が今年行った調査によると、機関投資家の40%が、ブロックチェーン技術はインターネットの誕生以来、最も重要なイノベーションかもしれないと考えていました。この集計結果は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で公開されましたが、回答した機関投資家の3分の1弱が、企業は今後5年以内に自社の取締役会にブロックチェーンの責任者を置く必要があると考えていて、また、38%が企業は5年以内にブロックチェーン技術に対する自社の取り組み方を投資家に明示する必要があると考えていることも明らかになっています。

 

GBBCのサンドラ・ローCEOはダボス会議で、

ブロックチェーン技術は今後、大半のセクターや日常生活において重要分野に影響を与えることは間違いない。ブロックチェーンに関する明快かつ包括的な戦略を持つ組織や、会社内部の変革に向けてブロックチェーンの実装や活用に注力する組織が、今後、成功を収める可能性がある。

 引用:HEDGEGUIDE

と考えを明示しています。それを裏付けるように様々な企業が国内外問わずブロックチェーンの領域への参画や投資の動きを活発にみせています。

 

  • ヤフー株式会社

ヤフー株式会社の100%子会社であるZコーポレーション株式会社は、2018年11月に出資、新設した100%子会社N.Avenue(エヌアベニュー)株式会社にて、ブロックチェーン・仮想通貨に関する新WEBメディア「CoinDesk Japan」を2019年3月に創刊します先立って12月14日に、N.Avenueは世界有数の専門メディアを運営するCoinDesk Inc(本社:米国ニューヨーク州、以下、CoinDesk)と、日本国内で「CoinDesk Japan」を運営するライセンスについて独占契約を締結しました。

引用:日本経済新聞

 

ヤフー株式会社の100%子会社であるZコーポレーションは昨年4月に株式会社ビットアルゴ取引所東京への資本参加決定を発表していますが、それに続きブロックチェーンメディアへの参画も発表しました。「ブロックチェーン・仮想通貨に関する良質で多角的な情報を多くの方にお届けし、健全な業界の発展に寄与することを目指す」と公式コメントで発表しています。

 

アジアで最も影響力のあるベンチャーキャピタル企業の1つであるセコイアと、中国最大の検索エンジンバイドゥ(Baidu )は、チューリング賞を受賞したー・チーチー・ヤオ博士が開発を手掛けるブロックチェーンプロトコル「Conflux (コンフラックス)」へ3500万ドルを投資しました。Conflux は、「分散化」を損なわないで拡張性問題の解決を試みる、業界でも一目置かれているプロジェクトです。こうした新技術へ中国最大の検索エンジン企業等が出資している動きも注目に値します。

 

 

最後に

アメリカの著名投資家、ウォーレン・バフェット氏はかねてから仮想通貨投資には否定的な見方をもっていて、2018年1月のCNBテレビのインタビューでも懐疑的な見解を示しています。ただし、バフェット氏は仮想通貨以外でもITやテクノロジー分野への投資には当初慎重姿勢をもっており、2017年5月にアマゾンへの投資を行ってこなかったことを「失敗であった」と後悔の念を示す発言もしています。そのためバフェット氏が、今まさに創成期にあるともいえる仮想通貨に対して否定的であることは驚くことではないとする見方が一般的です。

 

仮想通貨に対する専門家の見解は様々ですが、ビットコインやその他の仮想通貨の価格が一時的に下落しても、一時のトレンドとして捉えるのではなく、新しい通貨、新しい決済手段としてナスダックCEOのように前向きに捉えてみる必要があります。ErisX(エリス・エックス)への投資等こうした動きから金融機関は仮想通貨市場の「長期的」な成長に期待していると見て取れます。成熟するには、専門技術者の育成、技術開発、法的な壁など実現させるための足固めが必須だといえますが、今後とも仮想通貨市場の成長に注視していく必要があるでしょう。