仮想通貨を安全に保管するには?仮想通貨ウォレットの種類とメリット・デメリットを徹底解説

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仮想通貨を安全に保管するには?
ウォレットの種類とメリット・デメリットを徹底解説

 

仮想通貨取引といえば、取引所へのハッキングや不正送金の事件などが近年よく報道されました。そのような巨額流出や盗難といった報道を耳にして、安全性に不安を覚える人も多いのではないでしょう。一方、仮想通貨は投資対象として魅力的なものでもあり、決済手段としての利便性からも世界的に広く利用されるようになりました。

そのため、仮想通貨を安全に運用することができれば非常にメリットも得られます。セキュリティ意識をしっかりと持ち適切な対策を講じることでリスクを大幅に低減することができます。そこで仮想通貨をしっかり守るためのセキュリティについて今回はまとめてみたいと思います。

 

相次ぐ取引所へのハッキング 

近年の仮想通貨巨額流出事件の多くは取引所が攻撃され、そこから仮想通貨が盗み出されるケースがほとんどです。現金の場合は銀行に預けておけば、銀行がしっかりと保管してくれますが、仮想通貨に関しては取引所のセキュリティの隙をついたハッキングが相次いでしました。次にあげるのは昨年一年で、国内で発生した主な流出事件です。

 

仮想通貨取引所大手のコインチェックが利用者から預かっている約580億円分の仮想通貨が外部からの不正アクセスにより流出したと26日に発表しました。2014年にビットコイン取引所のマウントゴックスが約470億円のハッキング被害を受けた事件以来、過去最大の流出となります。この事件をきっかけに金融庁による検査体制が強化されることとなりました。

 

モナコイン(MONA)は日本生まれの仮想通貨で、昨年の秋にビットフライヤーに上場され、掲示板・2ちゃんねるの元祖投げ銭コインとしてもおなじみです。そのモナコインがマイナー(採掘者)による攻撃を受け、巻き戻し(Reorganization/Reorg)が複数回起き、海外のある取引所で約1000万円の被害が出ました。

 

  • Zaifハッキング事件

仮想通貨取引所Zaifを運営するテックビューロ20日未明、同社がハッキング被害に合い、計67億円相当の仮想通貨が流出したと発表しました。1月のコインチェックハッキング事件に続く、国内での大規模な流出事件が発生してしまいました。テックビューロは顧客資産を毀損させないための財源確保のため、フィスコから50億円の金融支援を受けることを発表します。またフィスコが子会社を通じてテックビューロ過半数の株式を取得する資本提携を締結しフィスコ傘下となりました。

 

これらの事件では幸いにも顧客への補償が行われていますが、法定通貨と違って金融機関によって法的に保証されているわけではありません。不測の事態にたいしては、自らもしっかりとセキュリティ対策を行う必要があります。

 

仮想通貨を安全に管理するには 

  • フィッシング対策

フィッシング詐欺とは、実在する企業やサービスを騙ったメールを送り、偽サイトにアクセスさせるなどの手法で、重要な個人情報を盗み出す行為のことを指します。仮想通貨取引においても、実在の取引所そっくりに似せた偽サイトに誘導され、本物そっくりのログイン画面でうっかり自分のIDやパスワードを入力することで情報が盗みだれてしまう危険性があります。メールなどでログインを促すようなサイトへの誘導に気を付ける他、SSLサーバー証明書の確認を行うなど意識する必要があります。

 

自分のPCにマルウェア等は仕込まれてしまうと、パソコンに記録されたすべてのパスワードが他者に渡ってしまう危険性もあります。不明な送信者からのメールのリンクをクリックしないこと、不審なサイトからファイルをダウンロードしないこと、アンチウィルスソフトウェアを使用することなど基本的なセキュリティ対策をしっかりと行うようにしましょう。

 

  • 取引所以外のウォレットに保管してセキュリティを確保

取引所がハッキングされた時有効な対策なのが、自分で取引所以外のウォレットに自分の仮想通貨を保管してセキュリティを確保することです。ウォレットとは『財布』という意味になります。仮想通貨を保管するための仕組みで、オンライン上に保管するウォレットとオフラインで保管するウォレットがあります。特にコールドウォレットと呼ばれるオフラインで保管するウォレットの場合、ネットから切り離された状態で仮想通貨を保存できるのでハッカーも手が出せません。ウォレットは大きく分けてこのコールドウォレットの他、オンライン上で利用するホットウォレットもあります。ウォレットにはいくつかの種類があるので、次項でもう少し詳しく説明していきます。

 

 

仮想通貨ウォレットの種類とメリット・デメリット

  

【ホットウォレット(HoT Wallet)】

 

WEBウォレット

常にオンラインでつながっている。取引所のウォレットも含まれる。取引時にすぐ利用できて便利な反面、取引所を狙ったハッキング被害にあいやすい。全額をオンラインウォレットに置かず、分散して管理するべき。

  • info

世界で最も利用されているウェブウォレットの一つ。取扱通貨は、ビットコインイーサリアムビットコインキャッシュの3種類。

  • MetaMask

イーサリアムイーサリアムベースのトークンを保管するためのウォレットです。dapps(分散型アプリケーション)開発で利用されることも多い。

 

ソフトウェアウォレット

自分のパソコンにソフトをインストールして保管。デスクトップウォレットとも呼ばれる。インストール後すぐに使用することが可能で利便性が高く使いやすい。自分のPCのセキュリティ対策が必要。

  • MyEtherWallet

イーサリアムを保管するためのソフトウェアウォレットであり、イーサリアム上で発行されるERC20トークンも保管することが可能。

  • mist

イーサリアムの公式ウォレット。同期に長い時間がかかってしまうため利便性が良いとは言えないと指摘されている。

ビットコインの公式ウォレット。mistと同様、同期に時間がかかるがどちらも公式ウォレットという安定感はある。

 

モバイルウォレット

自分のスマホにアプリをインストールして保管。出先でも簡単に仮想通貨を使用したり送金したりできるほか、仮想通貨での支払いを認めている店舗で、買い物をする場合などに便利。秘密鍵スマホなどのデバイス上で管理できるタイプなどがセキュリティ上比較的安全。

 

  • Ginco

日本の株式会社Ginco (Ginco Inc.) が開発・運用するスマートフォン向け仮想通貨モバイルウォレットアプリ。独自の暗号通貨方式による高水準のセキュリティを持つ。

 

  • Coinbase Wallet

世界で最も著名な仮想通貨取引所であるコインベース社が展開するウォレット。

 

 

【コールドウォレット(Cold Wallet)】

 

ハードウェアウォレット

専用デバイスを購入することで強固なセキュリティ性を確保可能。一般的にUSBのようなハードデバイスを利用し、送金や残高管理を行う場合には、パソコンなどに接続して使用する。インターネットに接続しない状態で秘密鍵を保管できるのでハッキングリスクを低減できる。

  • Ledger Nano S

ハードウェアウォレットの中で、最も代表的なものの一つ。取り扱い通貨も豊富。

  • Trezor

Ledger Nano Sと同様、世界中で標準的に使用されているハードウェアウォレット。電源も不要でUSBでPCに接続するだけでブラウザからウォレットを利用できる。

 

ペーパーウォレット

 

仮想通貨取り出しに必要な秘密鍵の情報を、QRコードや英数字などの形で紙に印刷して保管するペーパーウォレットは原始的ながら、紙を無くさない以上強固なセキュリティ対策が可能。印刷した情報が消えてしまったり、焼失してしまったりすると、保管されていた仮想通貨は復元不可になる。

 

こうした取引所以外のウォレットを使用すると、仮想通貨を取引所に保管することに比べると、サイバー攻撃などによるリスクを解消することができるため、セキュリティ性が向上するメリットがあります。しかし一方でオフライン型のハードウェアウォレットやペーパーウォレットであっても、その物自体を盗まれてしまうと保管している仮想通貨が危険に晒されることになります。自分でウォレットに保管する場合は、紛失や機器の盗難などに注意を払う必要があります。

 

最後に

仮想通貨取引所は常にハッカーに狙われています。世界的にも海外のPoloniexなどの取引所や香港、韓国などの取引所もこれまでに狙われました。各国の取引所もマルチシグや二段階認証などのセキュリティ対を講じていますが、全て取引所任せにしているのは危険です。自ら意識して仮想通貨を安全に保管する方法をしっかりと確立しておくことで、より安全に仮想通貨を保管し、手持ちの仮想通貨を守ることが可能です。