各国の自動車ブロックチェーン市場の現況

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各国の自動車ブロックチェーン市場の現況

 

最近、多くの企業がブロックチェーン技術に興味を持っている。ブロックチェーン(Block Chain)技術とは、ビットコインなどの暗号通貨が通貨として機能できるようにする技術であり、誰もが閲覧できる帳簿に取引内訳を透明に記録し、この内訳がデータそのものに保存される「分散型台帳技術」と言える。取引情報(データ)をネットワークに参加した皆が共有するため、データを誰かが任意に修正したり、偽・変造することが不可能な、データ完全性を保障する技術である。この特性により、ブロックチェーン技術は暗号通貨だけでなく、金融・医療・環境・ファッションなど各種の産業分野から活用されているが、特に目立つのは自動車産業分野だ。

 

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自動車産業の動向

国家を問わず世界の自動車関連業界では「完全自律走行時代」を切り開くための技術開発に余念がない。特に、常時ネットワーク連結を前提にしたコネクテッドカー関連技術の開発と完全自主走行自動車に向けた研究活動、自動車シェアリング事業のための技術開発などが目立つ。ここで、核心技術として活用されているのがまさにブロックチェーンだ。

 

海外では、レンタカーやカーシェアリングなどの自動車シェアリング事業が拡大傾向を見せており、ブロックチェーン技術は事業の起爆剤の役割をしている。ロシアのあるカーシェアリング会社では自動車の登録や取引過程を記録する際、ブロックチェーン技術を活用することにより、利便性やセキュリティを高めた。ブロックチェーンの核心技術である「分散型台帳技術」が車両の記録管理に容易であるため、自動車シェアリング事業を展開する海外スタートアップではブロックチェーン技術を活用しようとする動きを強く見せている。

 

ブロックチェーン技術を活用した事業の拡張傾向は、市場調査結果を通じても分かる。市場調査機関のBISリサーチでは8月21日、自動車市場でのブロックチェーン影響評価と産業動向及びアプリケーションを分析し、「2018-2026自動車部門のブロックチェーン戦略評価及び分析」報告書を発表した。本報告書では、ブロックチェーンの応用可能性や信頼性、拡張性などを考慮してみると、2026年には自動車ブロックチェーン市場の売上規模が約1700憶円規模に達する見込みで、年平均成長率は65%を見せながら市場規模が爆発的に拡大されると予想している。



各国の自動車業界のブロックチェーン活用事例

 

1.日本

 

自動車大国の日本では、すでに多様な研究を進行中であり、生産量基準で世界最大自動車会社であるトヨタ(Toyota)からは自主走行技術確保に向け、アマゾン、ウーバーのようなグローバル企業とのパートナーシップを結ぶなど、インフラ構築と同時に人工知能(AI)とブロックチェーン技術を活用した技術開発に積極的に乗り出している。

 

また、2015年からトヨタマサチューセッツ工科大学研究所(MIT)、スタンフォード大学との協力により、ユーザが自分の運転データを安定的にコントロールできるプラットフォームの開発を宣言した。ユーザが運転しながら得たデータをブロックチェーン技術を利用してコントロールするようにし、個人所有者や企業の運行管理者、自動車製造会社との間に安全な情報共有を可能にするという趣旨だった。また、これを活用し、自律運行車両の安全性を高めようとしている。

 

2016年にはトヨタ・リサーチ・インスティテュート(Toyota Research Institute, Inc.、略称:TRI)を設立し、新しいモビリティ・エコシステム開発のためのブロックチェーン技術開発を進めており、今後はこのシステムを通じて、車両共有取引記録を直接保存・管理する計画を明らかにした。また、TRIを通じて、ブロックチェーン分野の海外スタートアップ企業とのコンソーシアムに参加し、ブロックチェーン基盤の台帳システム開発分散暗号化データベースを提供してもらうなど、ブロックチェーンを活用した自動車保険の開発なども進める。これを通じて、自動車製造会社ではなく、モビリティサービス・プラットフォームを提供する企業として変化していく計画、というのがトヨタの説明だ。

 

2.米国

 

米国では、米国を代表する自動車会社のフォード(Ford)がブロックチェーン技術を積極的に活用する意思を表明したことがある。

 

フォードは、既に3月暗号通貨関連の技術を利用した「交通整理(渋滞解消)のための車両間協力(Vehicle-to-vehicle cooperation to marshal traffic)」特許を取得した。この特許は、車両間コミュニケーションを通じて、車両速度の調節などを可能にし、交通を整理して車両の間で協力する環境を作るというもので、現在はこれを体系的に実行するため、「協調型車間距離維持支援システム(Cooperatively Managed Merge and Pass;略称:CMMP)」システムを開発中だ。当該システムを通じて、個別トークン基盤取引で運営されるもので、運転者の必要によって道路上で通信して、車両間協力が必要な場合(低速車線を占有したり、車線への合流を許可することなど)CMMPトークンを通じて直ちに取引をし、道路上の混雑を解消するという。

 

その他にも、フォードはBMWルノーGMなどの大手自動車会社が参加したブロックチェーン研究グループであるMOBI(the Mobility Open Blockchain Initiative)を発足し、膨大な量の自動車関連データをブロックチェーンを通じて、より安全かつ広範に管理・共有しようとしている。  



3.韓国

 

韓国では、ブロックチェーン技術を活用している民間企業と公共機関の活動が目立つ。公共では、ソウル市が進めている中古車取引システム内ブロックチェーン技術の活用事例があり、民間ではブロックチェーン技術を活用した車両データ取引プラットフォームの構築が進められている。

 

1)ソウル市「中古車取引システム」に活用

 

ソウル市は、ソウル市のブロックチェーン基盤の行政サービス構築に向け、事業体公募を展開した。これを通じて、ソウル市のブロックチェーン標準プラットフォームと長安坪(チャンアンピョン)中古車売買市場へのブロックチェーン先導事業の事前検証事業に乗り出している。

 

中古車は新車に比べて低価で購入することが可能だが、一般の消費者が虚偽商品情報や事故車両に対する情報を把握するのは容易ではない。韓国消費者院の調査によると、中古車売買関連の被害救済事例の中で性能や状態の点検に関する被害の割合は増加傾向であり、これは売買の過程で、車両性能の点検書類が操作しやすい構造になっているためだという分析があった。

 

しかし、ブロックチェーン技術を中古車売買システムに取り入れれば、自動車製造会社と保険会社、修理会社が車両の履歴や走行距離、事故情報などのデータを共有して、このように集まったデータをブロックチェーン技術を通じて管理することで、問題を解決することができる。ブロックチェーン技術を活用すれば、車両に変化が生じる場合、ネットワークに参加した人たちの相互検証を通じてデータが管理され、偽・変造が不可能であるため、中古車を購入したい人たちはあらかじめ情報を確認して中古車売買の際、発生する被害を減らすことができるのだ。

 

このように集められたデータが単に中古車を購入しようとする消費者だけのための情報として活用されることではない。中古車関連のさまざまなデータを通じて、取引規模や取引動向、購入者の選好などを把握できるため、当データをマーケティングに活用することもできる。このようなメリットにより、ソウル市をはじめ海外の多くの企業からもブロックチェーン基盤の車両履歴システム構築に乗り出している。



2)車両データ取引のプラットフォーム構築

 

上記で言及したように、車両から獲得したデータは様々な分野で潜在的な活用可能性を持っている。韓国では、情報セキュリティ専門企業のペンタセキュリティが既に車両データの価値を知って、車両データ取引のためのプラットフォーム構築に乗り出している。

 

ペンタセキュリティは、2007年から韓国初として車両通信セキュリティ技術事業を始め、2015年WAVEなどの主要国際標準や規格をすべて遵守する自動車セキュリティ・ソリューションである「AutoCryptアウトクリプト)」を発売した。コネクテッドカー・セキュリティソリューションの開発当時から車両データの価値を知り、これを安全に活用するために様々な研究をしてきた彼らは、その後、ブロックチェーン技術を通じた安全な取引環境づくりに向け、Amo Labsという「車両データ取引ブロックチェーンプロジェクト」を発足した。

 

Amo Labsが志向する車両データ取引プラットフォームは簡単だ。膨大な量の車両データを保有している自動車製造会社、運送会社がブロックチェーン・ネットワーク内でデータを自由に取引することができるように取引システムを構築するという計画だ。車両データを必要とする保険会社や公共機関は、プラットフォームを通じて必要なデータを収集し、これを事業に活用する。自律走行車両の商用化とともに車両運行データや車体データの需要と重要度が高くなることを予想したものだ。

 

1次的に企業間のデータ取引システムが作られれば、以後には車両を保有している個人も自分の車両データ・運行データをプラットフォームから販売できるようにするというロードマップを描いており、年内にはデータ収集を可能にする装備を披露する予定だという。

 

新たなモビリティシステムの誕生

自動車産業は、国境を越えて様々な方法で発展しており、その発展の中心にはブロックチェーン技術がある。要点は、自動車市場でブロックチェーン技術を基盤にした脱中央化されたビジネス方式が好まれており、ますます取引の透明性と信頼性、セキュリティなどが確保されているということだ。近づく自律走行時代に備えている企業の動きが新たなモビリティシステムを構築している。このように、ブロックチェーン技術は信頼可能なネットワークを構築し、現存する問題を改善するだけでなく、自動車産業の全般にわたって多くの概念を変えながら新しい機会を創出している。

 

自動車はもはや単なる移動手段ではない。もう一つの生活空間になっているのだ。そして、自動車から生成される無数のデータも単純な運行記録などではなく、より安全で便利な自律走行のための源泉になる。集まったデータの価値を知って、これを管理できる最適のプラットフォームが作られた時、初めて健全で安全なモビリティシステムが作られるのだ。