OSS(オープンソースソフトウェア、Open Source Software)
ソースコードが公開されており、だれでも自由に利用・複製・修正できるソフトウェア。
OSSは開発者向けのソフトウェアであり、ソフトウェアを構成しているソースコード(ソフトウェアを開発するためプログラミング言語で書かれた内容)が公開されているという特徴を持ちます。分かりやすく説明すると、シェフが自ら開発した新メニューのレシピを全て公開するようなものです。人々はそのレシピを参考して自分のスタイルに合った、もしくはもっとおいしいレシピを作ることができます。ソフトウェアにも同じことが当てはまります。ソースが公開(Open)された場合、様々な人が基本コードに機能を追加したり、デバッギングを行ったり、環境に合わせ最適化を行うことができ、ソフトウェアとして発展するのに有利な条件が作られます。よって、ソフトウェアの改善と、より多数の参加という「善の循環」が成り立つのです。
オープンソースソフトウェアの最も代表的な例としては、オペレーションシステム(OS)の一つであるLinux(リナックス)があります。1991年に一人の大学院生が趣味としてOSの最も重要な要素であるLinuxカーネルを配布して以来、現在にはUbuntu・Fedora・Red HatなどLinuxをベースとした様々なOSが使われています。我々に親しいモバイル用OSであるAndroid(アンドロイド)もまたオープンソースであるLinuxカーネルに基づき作られました。そのほかにも、オープンソースデータベースであるMySQL、MariaDB、mongoDBやウェブサーバーであるAPACHE、ビッグデータプラットフォームであるHadoopなどが幅広く使われています。
それではOSSは本当に、勝手に修正されていいのでしょうか。実はOSSを使用するときもライセンス遵守事項を確認し、従う必要があります。「オープンソースなのにライセンス?」という疑問を持たれるかもしれませんが、どんな文章や映像にも著作権が設定されているように、ソフトウェアのソースコードにも著作権が設定されているのです。もちろんソフトウェア別に守るべき事項は違いますが、一般的には「著作権及び開発者に関する情報表示」、「ソースコードを修正した情報を表示」、「ライセンス情報の提供」などの事項を確認し義務事項を必ず守る必要があります。また、文章を書くのにあたり引用または出典を明かすと同じく、少々のオープンソースでもその出典を明かすべきです。
近年IBMはRed Hatを、マイクロソフト(Microsoft)はオープンソース共有プラットフォームであるGithubを買収するなど伝統的なIT業界の強者たちもオープンソースに関した動きを続々と見せています。特にマイクロソフトの場合は異例とも言えます。だれもが知っているマイクロソフトのウィンドウズ(Windows)はクローズソースOS(Close Source OS)であり、言葉通りオープンソースとは正反対の特徴を持ちます。しかし、マイクロソフトはGithubを買収するだけではなく、社内の25,000人以上のプログラマーをオープンソースプロジェクトに投入するなど、オープンソースに関する積極的な動向を見せています。マイクロソフトをはじめとした様々な企業がオープンソースに注目する理由は、めまぐるしく変化するIT環境の中で以前よりもさらに多量のデータ作成・処理が必要であるからです。特にクラウド・人工知能などがオープンソースで多数開発されている中、効果的な技術開発と主導権争いでの勝利という二つを目標にした動きがより活発になっています。