
近年、企業や組織を狙ったサイバー攻撃が増加しており、その被害は大企業だけでなく中小企業にも及んでいます。中小企業も、従業員の個人情報や取引先の機密情報など、保護すべき重要なデータを保有しています。
このような情報を守るためには、どの企業にとってもセキュリティ対策が不可欠です。とはいえ、対策には一定のコストがかかるため、必要性を感じながらも費用の目安がわからず、導入をためらう企業も少なくありません。
本記事では、中小企業におけるセキュリティ対策の平均費用や相場をわかりやすく解説します。さらに、実際の被害状況や有効な対策方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
中小企業がセキュリティ対策にかける平均費用は年間10~100万円
中小企業のセキュリティ対策費用は幅がありますが、年間10~100万円程度が目安です。
IPA(情報処理推進機構)のデータによると、過去3年間で中小企業が投じたセキュリティ対策費用の最多は「100万円未満」でした。
出典:IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」
ただし、セキュリティ対策に投じる費用は企業によって大きく異なります。100万円以上を投じる企業もある一方、過去3年間でまったく投資していない企業は約6割にものぼります。セキュリティ対策に対する温度感は、企業によって大きな差があると言えるでしょう。
あくまで目安ですが、セキュリティ対策の計画を立てる際の参考にしてください。
主要なセキュリティ対策別・費用相場
セキュリティ対策は多岐に渡り、それぞれ費用感も変わってきます。ここでは、主要な4つのセキュリティ対策別に、その内容や費用についてご紹介します。
- ウイルス対策ソフトの導入
- WAFの導入
- セキュリティ教育の実施
- 脆弱性診断の実施
①ウイルス対策ソフトの導入
ウイルス対策ソフトは、コンピュータに侵入する悪意あるプログラムを検出・駆除するためのソフトウェアです。従業員のパソコンやシステムのサーバーなどにウイルス対策ソフトを導入すれば、不審なファイルやウイルスから端末を保護できます。
中小企業向けのウイルス対策ソフトであれば、1ライセンスあたり年間5,000円が目安です。ただし、すべての端末にウイルス対策ソフトを導入する場合、従業員数や社内システムの規模が拡大するほど費用も膨らみます。
とはいえ、昨今深刻化している身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」のような脅威にも対策できる点は大きな魅力です。ウイルス対策ソフトが導入されていない端末がウイルス感染経路になり得るため、手抜かりなく対策を整えましょう。
②WAFの導入
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションに対する攻撃を検出・防御するセキュリティツールです。インターネットからの通信を常時監視し、Webアプリケーションの脆弱性(セキュリティ上の弱点)を突いた攻撃を防ぎます。
昨今では、自社システムをインターネットに接続する企業は珍しくありません。しかし、多くの脅威はインターネットを通してシステム内部に侵入するため、WAFの導入は有効な防御策となります。
WAFにはハードウェア型・ソフトウェア型・クラウド型の3種類があり、費用感も異なります。ハードウェア型は機器の設置や運用に、ソフトウェア型はライセンスや管理に費用がかかりやすい特徴があります。初期費用が50万円以上になるケースも少なくありません。
費用面では、インターネットを介して利用するクラウド型WAFが導入しやすいでしょう。機器の設置や維持管理の手間が不要で、月額数万円から利用できるサービスも多くあります。
WAFについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
セキュリティ対策に有効なWAFとは?仕組みや種類、おすすめ製品を紹介
③セキュリティ教育の実施
セキュリティ対策では、システムや設備だけでなく、人に関する対策も重要です。例えば、弱いパスワードの使用による不正アクセスや、不審メールの開封によるウイルス感染など、人の行動が原因で被害が発生することがあります。
このようなリスクを防ぐには、従業員へのセキュリティ教育が欠かせません。正しい知識を身につけることで、危険を早期に察知して回避できるようになり、組織全体の意識向上にもつながります。
セキュリティ教育の費用相場は年間で1〜10万円です。自社で実施する場合は教材作成や講師準備に人件費がかかるため、効率を重視して外部サービスを活用する企業も増えています。
④脆弱性診断の実施
脆弱性診断は、自社のWebアプリケーションやシステムに脆弱性がないか調べる検査です。発見した脆弱性を早期に修正することで、攻撃者に悪用される前に被害を防げます。
脆弱性診断には、ツールによる簡易的な診断と、セキュリティ専門家による高度な診断があります。ツール診断は数万円から、専門家による診断は数十万~数百万円ほどが目安です。
脅威の手口は常に変化しています。脆弱性診断は一度きりではなく、定期的に実施することが大切です。費用には幅があるため、予算も加味して脆弱性診断を選ぶとよいでしょう。
狙われる中小企業、サイバー攻撃被害の実態とは
サイバー攻撃は、もはや大企業だけの問題ではありません。近年、対策が比較的手薄になりがちな中小企業が、攻撃者の標的となるケースが増えています。帝国データバンクによると、サイバー攻撃を受けた企業の約30%は中小企業で、とくに約28%が小規模企業です。
出典:帝国データバンク「サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」
被害は自社内だけで収まりません。経済産業省によると、サイバー攻撃を受けた中小企業のうち、約7割では取引先にまで影響が及んでいます。これは「サイバードミノ」と呼ばれ、一社の被害がサプライチェーン全体へと連鎖的に広がっていく事態を指します。自社のセキュリティ対策の不備が、多くの取引先に迷惑をかける恐れがあります。
出典:経済産業省「中小企業の実態判明 サイバー攻撃の7割は取引先へも影響」
こうした状況の中では、中小企業にも適切なセキュリティ対策が不可欠です。セキュリティ対策を「コスト」ではなく「企業を守る投資」として捉える視点が求められます。
セキュリティ対策に費用をかけないリスク
「自社は大丈夫」と考え、セキュリティ対策への投資を後回しにする中小企業も少なくありません。しかし、十分な対策を行わないまま業務を続けることは、金銭的・業務的・信用的な損失につながる大きなリスクを抱えることになります。
ここでは、セキュリティ対策を怠った場合に想定される主なリスクを見ていきましょう。
リスク①被害による高額な損害
サイバー攻撃は、直接的な金銭的損失につながります。たとえば、顧客情報が漏えいした場合、損害賠償や謝罪対応に多額の費用がかかるでしょう。また、システムの停止やデータの破損により、売上が失われることも珍しくありません。
特に近年では、ランサムウェア攻撃による金銭的な被害が拡大しています。ランサムウェアに重要なファイルを暗号化され、多額の身代金を支払うケースも少なくありません。支払いに応じても完全に復旧できる保証はなく、二重に損失を被るケースも見られます。
IPAによると、ランサムウェア攻撃による平均被害額は約2,386万円です。セキュリティ対策費を節約した結果、こうした多額な損害を負うのでは本末転倒と言えます。サイバー攻撃を未然に防ぐための投資は、将来の損失を抑えるうえで欠かせない支出です。
出典:IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」
リスク②復旧やインシデント対応による業務の停滞
一度サイバー攻撃を受けると、事業の停止は避けられません。被害を受けたシステムの復旧や、原因の調査には多くの時間が必要です。その間、商品の製造やサービスの提供といった本来の業務は完全に止まってしまいます。
メールや基幹システムが一時的に使えなくなるだけでも、受注・請求・出荷といった日常業務に大きな支障が出ます。特に小規模な組織では、復旧対応に従業員が追われることで他の業務が後回しになり、取引先への対応にも遅れが生じかねません。
リスク③信頼失墜による顧客離れや機会損失
サイバー攻撃を防げなかったことで情報漏えいやシステム障害などが発生すれば、企業は信頼を大きく損ないます。「セキュリティが甘い会社」という印象が広まれば、顧客は取引に不安を感じるでしょう。
その結果、既存顧客が離れていったり、新規の取引が見送られたりしてしまいます。一度失った信頼を回復するのは非常に困難です。目先の金銭的損失以上に、長期的な機会損失は経営に深刻な打撃を与えます。
サイバー攻撃による被害事例については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
【2025年最新】国内外のサイバー攻撃事例10選!対策方法も紹介
中小企業のセキュリティ対策には「Cloudbric WAF+」がおすすめ
中小企業にとって、インターネットからの侵入口となるWebアプリケーションやシステムのセキュリティ対策は欠かせません。とはいえ、自社でサーバーを管理したり、高額なセキュリティ機器を導入したりするのは難しいケースも多いでしょう。
そこで有力となるのが、ペンタセキュリティが提供するクラウド型WAFの「Cloudbric WAF+」です。多機能かつリーズナブルなクラウド型WAFで、専門知識がなくても運用できます。Cloudbric WAF+の主な機能は下記のとおりです。
- AIを活用した高精度な攻撃検知
- 最大40Gbpsまで対応するDDoS攻撃対策
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コストを抑えながら堅実にセキュリティを強化したい企業には、Cloudbric WAF+がおすすめです。セキュリティ投資を後回しにせず、まずはCloudbric WAF+の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
中小企業にとって、サイバー攻撃は事業継続を脅かす大きなリスクです。セキュリティ対策費用を惜しむと、それを遥かに上回る損害を招きかねません。限られた予算や人員の中で効果的に対策を進めるためには、自社の状況に合ったソリューション選びが重要です。
特に、インターネットに接続するWebアプリケーションやシステムの防御にはWAFが有効と言えます。専門家がいなくても運用しやすい「Cloudbric WAF+」のようなサービスの導入を検討しましょう。