仮想通貨取引所「Zaif」がフィスコへ事業譲渡!移行の影響やこれまでのトラブルを徹底解説

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仮想通貨取引所Zaif」がフィスコへ事業譲渡!
移行の影響やこれまでのトラブルを徹底解説
 

2018年9月14日に67億円もの巨額のハッキング盗難事件が起こった仮想通貨取引所Zaif』の事件は結構新しいかもしれません。手数料の安さや取扱い銘柄の豊富さなどから国内で人気や知名度の高かったZaifですが、今回の巨額流出事件が影響となり、資金面、技術面の支援が必要となったことから10月に株式会社フィスコ仮想通貨取引所へ事業譲渡されることが正式に決定されました。

今回は、Zaifの歴史やトラブルのまとめ、フィスコへの移行の影響などを徹底的に調査してみます。

 

Zaifの歴史

 

Zaif大阪府大阪市に本拠を置くテックビューロ株式会社が運営する仮想通貨取引所です。2014年にetwingsという取引所がモナーコイン(monacoin)と日本円を扱っていましたが、2015年3月にテックビューロ社によってこのetwings社が買収され、名称も変更されました。

 

Zaifは元々テックビューロ株式会社内のブロックチェーン研究部所「ラボ」が開発したビットコインウォレットとして提供されていたサービスです。Zaifの名称の由来はブロックチェーンビットコインなど次世代のテクノロジー、通貨に対応した次世代の財布という意味で財布に「’」をつけた「財’布(ざいふ=Zaif)」から付けられています。その後仮想通貨の取引所事業を開始し、大手仮想通貨取引所として運営されてきました。

 

主な提供サービス

・仮想通貨の売買

ビットコインモナーコインの売買、取引所、信用取引サービス

 

Zaif Payment

店舗向けにビットコインモナーコインでの決済が可能となるサービス

 

・スマートATM

会員登録が不要の個人間でビットコインモナーコインを売買するサービス

 

Zaifトラブルまとめ】

- 不正出金被害(2018年1月6日~10日)

Zaifから6~7日の2日間に渡りAPIキーの不正利用による、不正取引および不正出金が行われたとの報告がありました。

 

- ビットコインの取引価格が0円に(2018年2月18日)

不正出金事件後もシステムの欠陥によるトラブルが頻発しています。Zaifの「簡単売買」サービスで価格計算システムに不具合が生じ、ビットコイン(BTC/JPYのみ)が0円で購入出来るというエラーが発生しました。

 

不具合に関する詳しい状況説明や、凍結したユーザーに対する謝罪・コメントもなく、Zaifには批判が殺到しました。

 

- 強制ロスカット事件(2018年2月23日)

サーバー負荷による不具合が原因となり、FXにおいて強制ロスカットが連続して発生する事故が起こりました。ビットコインが110万円から60万円にまで暴落する事態になり、Zaifでの先物取引は終了となりました。このトラブルに対しての補償等は行われていません。

 

- 金融庁による業務改善命令(2018年3月8日)

これまでの数々のトラブル、そのサポートを適切に行ってこなかった事などからZaifに対して「業務改善命令」が発出されました。

 

- 資本金の減資と本店変更(2018年3月20日

資本金を13億8,308万2,000円から1億1,100円へ減資し、本店は「大阪市西区西本町1-4-1」から「靱本町1-5-18」へ変更しています。減資・本店変更の理由は業績悪化による節税対策と推測されていますが、テックビューロ及びZaifからの公式アナウンスは一切なくユーザーの不信感が募りました。

 

- 67億円ハッキング流出事件発生(2018年9月14日)

2018年9月14日にハッキング被害が発生し、預託されていた顧客の仮想通貨ビットコインビットコインキャッシュMONAコインの一部である総額64億円が不正流出しました。ビットコインの相場は事件を受けて一時的に急落し、Zaifの新規登録停止も発生しました。

 

本年度の主だったトラブルを列記しましたが、サーバーの不具合が度々生じたにも関わらず、Zaifはサーバーエラーによる資金消失の補償は一切設けておらず、サーバー強度もの改善も行われず、最後に巨額ハッキング事件まで起こしてしまいました。また、トラブル時のサポート体制や補償対応についても不満の声が多く聞こえました。業務改善命令を度々受けても改善されていないと感じるユーザーもいて、最終的にハッキング事件が起こった時も想定内だったと驚かなかったそうです。

 

フィスコに事業譲渡が決定

Zaifは仮想通貨不正流出事件および、三度に渡る業務改善命令を受けて、2018年10月に株式会社フィスコ仮想通貨取引所へ事業譲渡されることになりました。仮想通貨取引所Zaif』の名称は変わりませんが、度重なる不祥事や事件で信用が失墜し、今後は新たな運営会社の元で再スタートを切ることになります。

 

このほど発生した、仮想通貨不正流出事件および、三度に渡る業務改善命令につきまして、お客様には大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを謹んでお詫び申し上げます。

 

弊社と株式会社フィスコ仮想通貨取引所との間で締結された平成30年10月10日付事業譲渡契約に関して、平成30年10月19日付臨時株主総会において、事業譲渡を承認する決議がされたことをご報告いたします。これに基づき、事業譲渡の手続きを進めてまいります。

 

引用:事業譲渡に関する株主決議について

 

譲渡による影響は?

 テックビューロ社は、フィスコへの事業譲渡後、仮想通貨交換業の登録を廃止した上で解散の手続を行う予定です。事業譲渡によって、個々の契約関係が株式会社フィスコ仮想通貨取引所に承継されることになりますが、「承継の効果」が発生するためには、顧客自身がこの承継に承諾することが前提となっています。

 

もう少し分かりやすく言うと、継承に承諾する手続きを行わないと、Zaifの口座残高や、ハッキング被害によって消失した仮想通貨の保証がフィスコから受けられなくなります。

 

【期間】

承継の承諾期間は「2018年10月22日(月)~ 2018年11月21日(水)」の間に行う必要があります。

 

【方法】

Zaifへログイン後、同意画面が自動的に現れるので「異議なく承諾します」をクリッする。

 

 

さらに期日までに継承の承諾手続きを終えた場合は、1000ZAIFトークン(11/1時点で150円相当)がお礼として付与されるとしています。

 

ZAIFトークン送付のご案内】

    この度事業を譲渡するにあたり、ご承諾頂きましたお客様には、大変ささやかではございますが、1000ZAIFトークンをお礼と致しましてお送りします。なお、既にご承諾頂きましたお客様も対象となります。   

- Zaif - 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) 2018年11月1日

https://t.co/5YkJrQLZ6S

 

フィスコに引き継がれるサービス

 主要通貨やトークンの取引

ZaifAPI

簡単売買

信用取引

AirFX

Zaif コイン積立

など

 

お問合せ先

今回の事業継承については専用の問合せ先が設けられています。

 

専用窓口

03-6629-2842 03-6629-2471

 

営業時間

10:00~17:30(土日祝含む)

 

まとめ

仮想通貨取引所の歴史はまだ浅く、現在国内で認可を受けている事業所は16所です。Zaif以外にも同様に巨額のハッキング被害にあった後、マネックスに買収されたコインチェックなどの事例も起こっています。今回はZaifの件を取り上げましたが、これからもセキュリティに甘く基盤の弱い仮想通貨交換所は、事業の譲渡や買収など淘汰の波にのまれる可能性が高いでしょう。仮想通貨取引所は、認可を受けているだけでなく、トラブルの頻度や内容、その対応やセキュリティの質などを精査して安全なところを選ぶようにしましょう。

 

最後に改めて、Zaifに口座を持っている人は承継の承諾を忘れずに行いましょう。承継の承諾を行わなかった場合は、テックビューロ社に預託している仮想通貨の返還請求、その他の請求を行ったとしても請求に対応できない可能性があるとしてプレスリリースでも注意喚起されています。