【3分ITキーワード】マルチシグネチャ(Multi-Signature、マルチシグ、多重署名)

マルチシグ

 

暗号資産の管理において多数の管理者が存在する場合、暗号資産ウォレットに複数の鍵を生成します。その鍵を使って同時に署名することで取引が行われる署名方式です。

 

最近ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の価値が急騰するにつれて、ハッキングによる暗号資産の不正流出事故が相次いでいます。実際に、今年の3月、韓国の暗号資産取引所で巨額の暗号資産が盗まれる事件が発生しました。調査によりますと、暗号資産の保管・取引が行われるために必要な秘密鍵Private Keyが内部の管理者によって奪取されたのが事件の原因だということが明らかになりました。今回は暗号資産の鍵紛失及び奪取を防げるマルチシグについてご紹介します。

 

マルチシグを理解するには、まず暗号資産の取引の際に使われる「鍵」「ウォレット」の意味を知っておく必要があります。通常、取引の際には円やドルなどの法定通貨が使われるため、お金を実際に持っている人に所有権が与えられます。しかし、暗号資産は実物として存在せず、複数の参加者が共有するブロックチェーン上に存在している通貨です。暗号資産の所有権を証明し、取引を行うためには、所有者が持っている秘密鍵が必要で、その秘密鍵を安全に保管・管理するための道具となるのがウォレットです。

 

ところで、取引の際に用いられる鍵が1つなら、管理者の過失で鍵を紛失してしまう可能性があります。また、外部からのハッキングより鍵を盗まれたり、内部管理者の持っている秘密鍵で簡単に奪取されたり、危険にさらされる可能性は極めて高くなります。こういった事故、または不正行為を遮断できる技術がマルチシグです。この技術が適用されたら取引の際に複数の管理者による署名が必要となります。つまり、複数の管理者の持っている鍵を使って同時に署名することで取引が成立されるということです。もし複数の鍵の中、1つがハッキングや紛失されても、任意で取引を生成することは不可能です。こうして多数の署名の上で取引が生成されるため、マルチシグは暗号資産のハッキングを防げる技術として注目されています。

 

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