D'Amoの暗号化方式とその適用例

D’Amoは、多様な企業のIT環境やセキュリティニーズに対応するために、さまざまな暗号化方式を提供しています。ここでは、具体的な状況において、どのような暗号化方式を使用すべきかを、詳細な事例を挙げて説明します。 データベースの暗号化は、 企業が顧客データ、財務データ、個人情報などの機密情報をデータベースに保存している場合、暗号化が必須要件となります。

この記事では、D'Amoのさまざまな暗号化方式を利用した暗号化事例を紹介します。

 

データベースの暗号化

企業が顧客データ、財務データ、個人情報などの機密情報をデータベースに保存している場合、データベースの暗号化は必須です。このパートでは、D'AmoのDP(Package Encryption)およびDE(Engine Encryption)を用いた暗号化の事例を紹介します。

 

事例1 : 大規模データベースの顧客データ暗号化

企業:大手銀行

暗号化方式:DP(Package Encryption)

詳細:銀行は、Oracleデータベース上に顧客の個人情報、取引履歴、口座情報などを保存しています。DPはカラム単位で暗号化を行うため、特に機密性の高いカラム(例:顧客の名前、住所、クレジットカード情報)を選択的に暗号化できます。これにより、データベース全体の暗号化に比べてパフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつ、高度なセキュリティを実現できます。また、DPは既存のデータベース構造に、大きく変更を加えることなく導入できるため、迅速な実装が可能であることが特徴です。

 

事例2: 中小企業のオープンソースデータベース暗号化

企業:中小規模のeコマース会社

暗号化方式:DE(Engine Encryption)

詳細:このeコマース企業は、MySQLデータベースに顧客の注文履歴、個人情報を保存しています。DEを使用することで、MySQLエンジン内部で直接データ暗号化を実行します。DEの利点は、アプリケーションレベルでの修正が不要であり、既存の業務プロセスに影響を与えずに導入できることです。例えば、注文履歴や顧客情報が自動的に暗号化されるため、データ漏えいリスクが大幅に低減されます。

 

アプリケーションの暗号化

アプリケーションサーバーとデータベースサーバー間で機密データを転送する場合、この通信経路が攻撃者に狙われるリスクがあります。このパートでは、D'AmoのBA(API Encryption)を用いた暗号化の事例を紹介します。

 

事例 : eコマースサイトのトランザクションデータの暗号化

企業:大手オンラインリテーラー

暗号化方式:BA(API Encryption)

詳細:このオンラインリテーラーは、アプリケーションサーバーからデータベースサーバーに顧客の購入情報や支払い情報を転送しています。

BAはアプリケーションサーバーやWASサーバーでデータを暗号化し、暗号化されたデータのみがデータベースに送信されるようにします。これにより、ネットワーク区間でのデータ漏えいリスクが大幅に軽減されます。

また、暗号化・復号化の処理がアプリケーションサーバー側で行われるため、データベースサーバー本体の負荷を軽減し、暗号化処理が集中するボトルネックを避けることで、システム全体のパフォーマンスの効率性が期待できます。

 

ファイルの暗号化

企業がWindows OS上で機密ファイルを保存・管理している場合、ファイル単位の暗号化が必要です。このパートでは、D'AmoのKE(Kernel Encryption)を用いた暗号化の事例を紹介します。

 

事例 : 人事データや財務レポートの暗号化

企業:大手製造業

暗号化方式:KE(Kernel Encryption)

詳細:この製造企業は、人事部が管理する従業員の個人情報ファイルや財務部が管理する財務レポートファイルをWindowsサーバーに保存しています。KEはWindows OSカーネルレベルでファイル単位の暗号化を行い、特定のプロセス(プログラム)のみが暗号化されたファイルにアクセスできるように設定します。例えば、人事データベースファイルや給与データファイルは、認可されたアプリケーションのみがアクセスできるようにし、その他のプロセスや不正なプログラムからのアクセスを防ぎます。これにより、内部脅威やマルウェアによるデータ漏えいを防止し、企業の情報セキュリティを強化します。

 

暗号鍵管理

企業が複数の暗号化方式を使用し、暗号鍵を安全に管理する必要がある場合、効果的な暗号鍵管理システムが求められます。このパートでは、D'AmoのSG-KMS(Key Management System)を用いた暗号鍵管理の事例を紹介します。

 

事例 : 金融機関での暗号鍵管理

企業:大手金融機関

暗号化方式:SG-KMS(Key Management System)

詳細:この金融機関は、クレジットカード情報、ローン情報、顧客口座情報などを暗号化する際に、複数の暗号鍵を使用しています。SG-KMSは、これらの暗号鍵を一元的に管理するためのシステムです。例えば、クレジットカード情報を暗号化するための鍵、ローン情報を暗号化するための鍵など、それぞれの用途に応じた暗号鍵をSG-KMSで管理します。SG-KMSは、暗号鍵の生成、配布、保管、ローテーションを自動化し、セキュリティポリシーに基づいたアクセス制御を実施します。これにより、暗号鍵の不正アクセスや流出を防ぎ、データセキュリティを維持します。

 

まとめ

D'Amoは、企業の多様なニーズに応じて最適な暗号化方式を提供することで、データセキュリティを強化します。以下に、各暗号化方式の特徴と差異をまとめます。

 

データベースの暗号化

DP(Package Encryption)は、データベースの特定のカラムを選択的に暗号化する技術です。これにより、データベース全体を暗号化する必要がなく、暗号化が必要なカラムだけを保護することができます。この方法は、大規模なデータベースに対して非常に有効であり、パフォーマンスの低下を最小限に抑えつつ、高度なセキュリティを提供します。大規模なデータベースの顧客データに最適です。

 

DE(Engine Encryption)は、データベースエンジンレベルでの暗号化を提供します。これは、アプリケーションコードの変更が不要で、既存のビジネスプロセスに影響を与えずに導入できるため、中小企業に非常に適しています。DEは、データベースエンジン内部で自動的にデータを暗号化し、アプリケーションからデータベースにアクセスする際に暗号化されたデータが常に保護されるようにします。

 

アプリケションの暗

BA(API Encryption)は、アプリケーションサーバーとデータベースサーバー間でのデータ転送を保護するための暗号化技術です。この方法では、アプリケーションサーバー側でデータを暗号化し、暗号化されたデータのみがネットワークを通じて送信されるため、転送中のデータ漏えいリスクが大幅に軽減されます。また、暗号化・復号化のプロセスがアプリケーションサーバー側で行われるため、データベースサーバーの負荷を軽減し、システム全体のパフォーマンスが向上します。

 

ファイルの暗号化

KE(Kernel Encryption)は、Windows OSカーネルレベルで動作する暗号化技術です。ファイル単位での暗号化を行い、特定のプロセスのみが暗号化されたファイルにアクセスできるように制御します。これにより、許可されたアプリケーションのみが重要なファイルにアクセスでき、その他のプロセスや不正なプログラムからのアクセスを防ぎます。KEは、企業の内部脅威やマルウェアからのデータ漏えいを防止し、情報セキュリティを強化します。

 

暗号鍵管理

SG-KMS(Key Management System)は、複数の暗号鍵を一元管理するためのシステムです。暗号鍵の生成、配布、保管、ローテーションを自動化し、セキュリティポリシーに基づいたアクセス制御を実施します。これにより、暗号鍵の不正アクセスや流出を防ぎ、データセキュリティを維持します。SG-KMSは、特に金融機関など、複数の暗号鍵を扱う必要がある企業にとって非常に有用です。

 

 

これらの暗号化方式を適切に組み合わせることで、企業はデータ漏えいのリスクを低減し、コンプライアンス要件を満たすことができます。また、D'Amoの暗号化ソリューションは、システムパフォーマンスを維持しつつ、さまざまシステム環境に導入できるため、企業のセキュリティ対策を強化するための非常に有効な手段を提供します。