AIセキュリティリスクとは?データが「攻撃の学習材料」にされる脅威と対策を解説

生成AIやAIツールを業務に取り入れる企業が急増するなか、これまで想定されていなかった新たなセキュリティリスクが顕在化しています。結論から言えば、AIのリスク対策には「入口を固める対策」に加えて、万一に備えて「データそのものを暗号化し、盗まれても・学習されても中身を読めない状態にしておく」ことが欠かせません。その有力な手段となるのが、ペンタセキュリティのデータ暗号化プラットフォーム「D.AMO」です。

本記事では、AIセキュリティリスクの全体像と具体的な対策、そして最後の砦となる暗号化の考え方までをわかりやすく解説します。

AIセキュリティリスクとは

AIの業務活用が広がるにつれ、従来のサイバーセキュリティ対策だけでは想定しきれない新たなリスクが生まれています。AIセキュリティには「AIを脅威から守る(Security for AI)」と「AIの力で防御を強化する(AI for Security)」の2つの側面があります。

本稿では「AIを脅威から守る(Security for AI)」を中心に解説します。

なお、「AIの力で防御を強化する(AI for Security)」については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

AIセキュリティとは?企業の活用事例や導入のリスク、対策について解説

AIセキュリティリスクが注目される背景

AIセキュリティへの関心が高まる背景には、脅威の急速な拡大があります。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出ながら組織向けの3位にランクインしました。

生成AIの業務利用が急速に広まる一方で、そのリスクが十分に整理されていない現状を映し出していると言えます。想定される脅威は機密情報の漏えいからAIを悪用した攻撃の高度化まで多岐にわたる傾向にあり、まずは自社のAI活用に潜むリスクを把握することが、対策の出発点となります。

主なAIセキュリティリスクの種類

AIの業務活用に伴うリスクは、大きく4種類に整理できます。結論から言えば、いずれも「データ」を起点に発生する点が共通しており、まずは全体像を押さえておくことが重要です。ここではそれぞれについて紹介します。

①機密情報の漏えい・学習データへの流用

最も身近で注意すべきなのが、機密情報の漏えいです。ChatGPTなど外部のAIサービスに社内の機密情報や顧客データを入力すると、その内容がAIの学習に利用され、他の利用者への回答に反映される可能性があります。

つまり、何気なく入力した情報が”攻撃の学習材料”として取り込まれ、意図せず外部に流出する危険があるということです。会話履歴から機密情報が再生成されるケースも報告されており、AIへ入力する情報の範囲は慎重に管理する必要があります。

②プロンプトインジェクション

プロンプトインジェクションとは、AIに悪意ある指示文を送り込み、本来想定されていない動作をさせる攻撃手法です。巧妙に細工された指示文により、AIが機密情報を出力したり、設定された制限を無効化したりするケースがあります。

特にAIがデータベースや外部システムと連携している環境では、一つの攻撃がシステム全体に波及しかねません。この手法はLLM(大規模言語モデル)のセキュリティ基準「OWASP Top 10 for LLM」でも最も危険な脆弱性に位置づけられています。

③データポイズニング・モデル汚染

データポイズニングとは、AIが学習に使うデータに悪意ある情報を混入させ、その動作を意図的に狂わせる攻撃手法です。土台となるデータが汚染されていると、AIは誤った判断や予期しない出力を繰り返すようになります。

わかりやすい例が、不正アクセスを検知するはずのAIが、攻撃を「正常な通信」と誤判断するよう仕向けてしまうケースです。外部のオープンソースや公開データを学習に使う場合は汚染データが紛れ込むリスクもあり、学習データの出所確認と品質管理が欠かせません。

④AIエージェントの自律動作に伴うリスク

近年注目が高まっているのが、AIエージェントの自律動作に伴うリスクです。AIエージェントは外部のシステムやデータベースと連携しながら、人の指示を逐一待たずに自律的に処理を実行します。利便性が高い一方、ひとたび乗っ取りや誤作動が起きると、情報の持ち出しや不正操作の起点になりかねません。

「OWASP Top 10 for LLM」でも、AIへの過剰な権限付与の危険性が「過剰な代理権(Excessive Agency)」として挙げられています。付与する権限を必要最小限にとどめ、操作ログを継続的に監視することが重要です。

AIリスクから企業を守る基本対策

リスクを正しく理解したうえで、次に必要なのが具体的な対策です。まず取り組むべきは、リスクの「入口」を固める人的・運用面の対策です。ここでは推奨される3つの基本対策を紹介します。

①社内ガイドライン・ポリシーの策定

最初の一歩は、社内ガイドライン・ポリシーの整備です。AIツールへ入力してよい情報とそうでない情報の線引きを明確にし、機密情報の入力禁止やディープフェイクの作成禁止などを明文化することで、従業員が迷わず安全にAIを使える環境が整います。

策定にあたっては、経済産業省・総務省が公開する「AI事業者ガイドライン」が参考になります。AI技術は急速に進化するため、定期的な見直しも欠かせません。

情報セキュリティガイドラインについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

情報セキュリティガイドラインとは?基本からポイントまで解説

②従業員へのセキュリティ教育

ガイドラインを整えても、従業員一人ひとりがリスクを理解していなければ対策は十分に機能しません。AIセキュリティでは、技術的な仕組みと同じくらい人への教育が重要になります。最新の脅威動向やAI特有のリスクを継続的に共有する啓発プログラムを実施することで、安全な使い方が組織全体に浸透していきます。一度きりで終わらせず、繰り返し学ぶ機会を設けることが大切です。

③入出力データの管理・監視

次に有効なのが、AIへの入出力データの管理・監視です。どのようなデータを入力し、AIの出力をどう扱ったかを記録・監視する仕組みを整えることで、不適切な利用や情報漏えいの兆候を早期に把握しやすくなります。ただし、これらはあくまでリスクの「入口」を守る対策であり、すり抜けてデータが持ち出された場合には別の備えが必要です。そこで重要になるのが、次に解説するデータそのものの保護です。

最後の砦となる「データ暗号化」

入口対策を徹底しても、あらゆる漏えいを完全に防ぎ切ることは困難です。そこで重要になるのが、万一漏えい・窃取されても被害を抑える「最後の砦」=データ暗号化です。金庫の中のお金も単位がわからなければただの紙束であるように、暗号化されたデータは盗まれても読み取れなければ意味をなしません。

入口対策だけでは守りきれない理由

ガイドラインや監視といった対策は人の運用に依存する部分が大きく、ヒューマンエラーや想定外の攻撃手口を完全に防ぐことはできません。

だからこそ、万一データが流出・窃取された場合でも被害を抑えられるよう、データそのものを保護しておくことが重要になります。データを暗号化しておく主なメリットは、次のとおりです。

  • 万一流出しても、第三者は中身を解読できない
  • 内部不正やサーバー管理者による不正な閲覧からも保護できる
  • 改正個人情報保護法やGDPRなどのコンプライアンス対応にもつながる

これらにより、入口対策をすり抜けられた場合の”被害の深さ”を大きく軽減できます。

データ暗号化プラットフォーム「D.AMO」

こうしたデータ暗号化を実現する代表的な製品が、ペンタセキュリティの「D.AMO(ディアモ)」です。D.AMOであれば、データベースやファイルを暗号化し、万一データが盗まれても、AIの学習データに紛れ込まされても、中身を解読できない状態を保つことができます。

D.AMOは2004年に韓国初のデータベース暗号化ソリューションとして誕生し、20年以上の実績と全世界で2万件以上の導入実績を持ちます。オンプレミスからクラウドまで幅広い環境に対応し、暗号化に加えアクセス制御・ログ監査・暗号鍵管理を一元的に担います。

さらに、改正個人情報保護法やPCI DSS、GDPRなどのコンプライアンス要件にも対応しています。

D.AMOについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

データ暗号化プラットフォーム「D.AMO」とは?機能や特長、利用例を紹介

よくある質問(Q&A)

最後に、AIセキュリティリスクに関して多く寄せられる疑問にお答えします。

Q:生成AIに機密情報を入力すると学習に使われますか?

A:サービスや設定によっては、入力した内容がAIの学習に利用される場合があり、他の利用者への回答に反映される可能性も報告されています。まずは利用するサービスに、入力データを学習に使わせない「オプトアウト設定」があるかを確認しましょう。そのうえで、機密情報や個人情報は入力しないルールを社内で徹底することが、基本的な対策となります。

Q:AIエージェントのセキュリティリスクとは?

A:AIエージェントは外部のシステムやデータベースと連携して自律的に動作するため、乗っ取りや誤作動が情報の持ち出し・不正操作の起点になりかねません。対策としては、与える権限を必要最小限にとどめること、操作ログを継続的に監視すること、そして万一に備えて重要データを暗号化しておくことが有効です。

Q:暗号化すればAIのセキュリティリスクは防げますか?

A:結論から言えば、暗号化はプロンプトインジェクションや誤入力そのものを防ぐものではありません。あくまで、盗まれた後の被害を最小化する対策です。ガイドライン・教育・監視といった入口対策と、D.AMOによるデータ暗号化を組み合わせた多層防御として運用することで、はじめて高い効果を発揮します。

まとめ

AIの業務活用が広がる今、そのリスクは「機密情報の学習流用」「プロンプトインジェクション」「データポイズニング」「AIエージェントの自律動作」など多岐にわたる傾向にあります。

対策の基本はガイドライン策定・従業員教育・入出力監視といった”入口”対策ですが、それだけで漏えいを防ぎ切ることは容易ではありません。だからこそ、万一を見据えた”最後の砦”として、データそのものの暗号化が重要になります。

ペンタセキュリティの「D.AMO」は、データを暗号化し、盗まれても・学習されても中身を読めない状態をつくることで、AI時代のデータ保護を支えます。自社のAI活用を安全に進めたいとお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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