サイバー攻撃から銀行を守るには?被害事例3選とAI時代のセキュリティ対策

ランサムウェアやDDoS攻撃など、企業を狙ったサイバー攻撃が年々増加しています。そして近年では、社会インフラの1つともいえる銀行・金融機関がその標的となるケースも少なくありません。いざ銀行がサイバー攻撃を受ければ、その影響は多大なものとなります。

「Claude Mythos」のように高性能なAI(人工知能)が登場した昨今、もはや従来の防御策だけで脅威を防ぎきることはできません。脅威から銀行の資産や信頼性を守るためには、サイバー攻撃への理解を深め、被害を防ぐための対策を講じることが不可欠です。

本記事では、サイバー攻撃から銀行を守るための基本的な情報をお伝えします。サイバー攻撃の被害事例や具体策、有効な解決策となる暗号化プラットフォーム「D.AMO」も紹介しますので、安全なシステム運用の体制を整えるための参考にしてください。

銀行がサイバー攻撃へ早急に対応すべき理由

信頼性が土台となる銀行のシステムは、従来から堅牢なセキュリティ対策が欠かせないものでした。しかし、攻撃手法が複雑化した昨今、セキュリティ対策の重要性はこれまで以上に高まっています。

AI時代を迎えた現代の銀行や金融機関は、セキュリティ対策に喫緊の課題として取り組まなければなりません。まずは、銀行がサイバー攻撃へ早急に対応すべき理由を2つに分けて解説します。

  • Claude MythosなどAIの進化により脅威が高まっている
  • 銀行はサイバー攻撃の標的になりやすい

①Claude MythosなどAIの進化により脅威が高まっている

急速に進化・普及するAIが、サイバー攻撃にも悪用されるケースが増えています。AIでマルウェア(悪意のあるプログラム)を製造する手法がその一例です。専門知識がなくても高性能なAIを利用できる時代となり、攻撃のハードルは大きく下がりました。

その象徴として注目を集めたのが、2026年4月にAnthropic社が発表したClaude Mythosです。Claude Mythosは高度な推論能力を備え、システムの脆弱性(セキュリティの弱点)の分析やコード生成に優れています。一方で、その性能がサイバー攻撃へ悪用される懸念が高まったことから、一般公開が制限されました。

こうした動きを受け、金融庁でもAIの活用とリスクを踏まえたセキュリティ対策の検討が進められています。しかし、行政による取り組みだけで銀行を狙うサイバー攻撃を防ぐことはできません。AI時代の新たな脅威を前提として、各銀行が自らセキュリティ対策を強化することが重要です。

AIを悪用したサイバー攻撃については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

AIを悪用したサイバー攻撃とは?手口や被害事例・対策について解説

②銀行はサイバー攻撃の標的になりやすい

サイバー攻撃は、現代のあらゆる企業が警戒すべきリスクです。なかでも社会インフラとして機能する銀行は、サイバー攻撃の標的になりやすい側面があります。預金や融資などの金融サービスを支えるだけでなく、多数の顧客情報や取引データを保有しているためです。

仮に攻撃者が金銭の窃取や機密情報の売買を目的としていた場合、莫大な資産が集まる銀行は格好の的と言わざるを得ません。

また、攻撃者が社会的混乱を目的としていた場合も、やはり社会インフラの1つである銀行は狙われやすいといえます。オンラインバンキングやATMが停止すれば、多くの利用者が金融サービスを利用できなくなり、社会活動に支障をきたすでしょう。

近年は銀行を直接攻撃するのではなく、業務委託先やクラウドサービス事業者を経由して侵入するサプライチェーン攻撃も増加しています。自社のシステムだけを守れば十分という時代ではなく、取引先を含めたセキュリティ対策が欠かせません。

銀行がサイバー攻撃を受けるとどうなる?

銀行がサイバー攻撃を受ければ、その被害は経営全体に波及しかねません。ここでは、銀行がサイバー攻撃を受けた場合に懸念される3つの問題について解説します。

  • 顧客データや機密情報の漏えい・悪用
  • 金融システムの停止による巨額の経済的損失
  • ブランドイメージの失墜と損害賠償リスク

サイバー攻撃を受けた企業については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

サイバー攻撃を受けた企業の事例11選【2024~2025年版】

①顧客データや機密情報の漏えい・悪用

銀行が保有する個人情報や取引履歴、口座情報は、攻撃者にとって価値の高い情報です。不正に窃取されたデータはダークウェブ(匿名性の高いネットワーク上の闇市場)で売買されたり、さらなる詐欺や不正送金に悪用されたりする恐れがあります。

近年は、データを暗号化して使用不能にするだけでなく、事前に情報を窃取して公開を迫る「二重脅迫型」のランサムウェア(身代金要求型ウイルス)も増えています。バックアップから復旧できても、情報漏えいそのものは防げないため、企業にはデータそのものを保護する対策が不可欠です。

その点、ペンタセキュリティが開発する「D.AMO」のようなデータ暗号化プラットフォームを導入しておけば、万が一データが窃取された場合でも第三者による内容の解読を防ぎやすくなります。

データ暗号化については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

データ暗号化とは?仕組みや身近な例・サービスを選ぶポイントを解説

②金融システムの停止による巨額の経済的損失

ランサムウェアやDDoS攻撃(大量の通信を送り付けてサービスを妨害する手口)を受けると、ATMやネットバンキングが停止する事態に陥りかねません。金融システムの停止が長引けば、原因調査や復旧対応に多大なコストがかかり、業務継続にも大きな支障が生じます。

利用者への対応や取引停止にともなう機会損失も重なり、経営への影響は深刻です。安定したサービス提供が求められる金融機関にとって、システム停止は重大な経営課題といえます。

③ブランドイメージの失墜と損害賠償リスク

銀行で大規模な情報漏えいやシステム障害が起きれば、長年築き上げてきたブランドイメージ・信頼は大きく損なわれます。場合によっては顧客流出や行政上の対応、損害賠償リスクにもつながるため、技術的な復旧だけでは十分とはいえません。

また、被害の規模によっては顧客への巨額の損害賠償が発生するほか、金融庁などの監督官庁から業務改善命令を受ける事態も考えられます。技術的な復旧を果たすだけでは経営への打撃をカバーしきれないのが、金融機関を狙う攻撃の恐ろしさです。

銀行のサイバー攻撃被害事例3選

銀行を狙ったサイバー攻撃は、実際に国内外で発生しています。ここでは、代表的な3つの被害事例を見ていきましょう。

概要主な攻撃手法主な被害
不正アクセスによる身代金要求・金融機関への二次被害辞書攻撃・サプライチェーン攻撃サービス利用停止、顧客企業への二次被害
DDoS攻撃による大規模なオンラインバンキングのシステム障害DDoS攻撃サービス利用停止・妨害
見えない侵入口となるAPI経由での情報漏えいサプライチェーン攻撃約580万人分の個人情報が漏えい

事例①不正アクセスによる身代金要求・金融機関への二次被害

2025年9月、データ入力ツールを提供するローレルバンクマシン社で、サーバーへの不正アクセスが発生しました。攻撃者は辞書攻撃(推測されやすい単語を繰り返し入力する手口)などを用いてデータベースに侵入し、身代金要求をともなう攻撃を行ったと見られます。

この攻撃によってサーバー内のファイルが消失し、同社ツールの一部が利用できない事態となりました。さらに、同社ツールを利用していた顧客企業にも二次被害が及び、業務を委託していた複数の金融機関が情報漏えいに関するお知らせを公表する事態に発展したのです。

この事例では、金融機関が直接的に攻撃を受けたわけではありません。しかし、取引先の1社でも攻撃を受けると、関連する金融機関にも実害が及ぶリスクが浮き彫りとなりました。

出典:不正アクセスによる個人情報漏えいに関するご報告とお詫び | 2026年 | 最新情報 | ローレルバンクマシン株式会社

事例②DDoS攻撃による大規模なオンラインバンキングのシステム障害

2024年12月から2025年1月にかけて、国内の複数企業を標的とした大規模なDDoS攻撃が発生しました。金融業界では、りそな銀行やみずほ銀行の個人・法人向けインターネットバンキングが被害を受けています。断続的にシステムがつながりにくくなるアクセス障害が相次ぎ、年末年始の取引に大きな影響を与えました。

DDoS攻撃は、サーバーに膨大な通信やデータを送りつけて処理負荷を高め、サービスを停止に追い込む手口です。障害自体は数時間で復旧したものの、24時間365日の稼働が求められる金融インフラには大きな打撃となりました。短時間の停止であっても、銀行が受ける顧客満足度の低下や社会的信用の失墜は計り知れません。

この事例は、情報の漏えいをともなわない攻撃であっても、銀行経営に重大な影響を及ぼす事実を突き付けています。外部からの不審な通信を素早く検知して遮断する、高度なネットワーク監視体制の構築が重要です。

出典:【重要】年末年始に発生したネットワーク不具合による各種サービスへの影響について|りそな銀行

事例③見えない侵入口となるAPI経由での情報漏えい

2025年、米国のフィンテック企業700Credit社で、580万人分以上もの個人情報が漏えいしました。ディーラーから集められた約5カ月分の顧客データが、同社の気付かないうちに不正にコピーされました。

原因は、同社と提携する外部パートナー企業のシステムに侵入されたことでした。そこから個人情報にアクセスするためのAPI(システム同士の接続口)を不正に利用し、同社ユーザーの個人情報を窃取したと見られます。

正規の手順に紛れた不正アクセスは、従来の監視ツールでは検知が困難となります。万が一、データが盗み出された際の解読を防ぐためには、「D.AMO」のようにデータ自体を暗号化する仕組みが求められます。

出典:700Credit Data Breach Impacts 5.8 Million Individuals – SecurityWeek

サイバー攻撃を防ぐために銀行が検討すべき対策

銀行を狙ったサイバー攻撃は、ランサムウェアやDDoS攻撃、不正アクセスなど多様化しています。近年はAIの悪用やサプライチェーン攻撃も増えており、単一のセキュリティ対策だけでは十分とは言えません。

重要なのは、侵入を防ぐ対策と、侵入された後の被害を抑える対策を組み合わせることです。ここでは、銀行が優先して取り組みたい4つの対策をご紹介します。

  • アクセス制御・ネットワーク監視を強化する
  • 委託先・取引先を含めたサプライチェーン対策を徹底する
  • 従業員へのセキュリティ教育とインシデント対応体制を整備する
  • データ暗号化によって情報漏えいリスクを最小化する

①アクセス制御・ネットワーク監視を強化する

サイバー攻撃による被害を抑えるためには、不正アクセスをできる限り早く検知し、被害の拡大を防ぐ仕組みが欠かせません。

たとえば、利用者ごとに必要最小限の権限だけを付与する「最小権限の原則」を徹底すれば、不正に認証情報が盗まれてもアクセス範囲を限定できます。また、ネットワークやシステムを継続的に監視すれば、不審な通信や異常な操作を早期に発見しやすくなります。

近年の攻撃では、正規の認証情報を巧みに悪用するケースも少なくありません。アクセス制御と常時監視を密に組み合わせることが、侵害の早期発見につながります。

②委託先・取引先を含めたサプライチェーン対策を徹底する

近年は、標的企業への足がかりとしてセキュリティの手薄な委託先や外部サービスを狙うサプライチェーン攻撃が増えています。銀行本体が十分なセキュリティ対策を実施していても、取引先が侵害されれば、情報漏えいや業務停止につながる恐れがあります。

そのため、委託先のセキュリティ基準を明確に定め、定期的な監査やリスク評価を実施することが重要です。また、重要データへのアクセス権限を必要最小限に限定し、委託先が扱う情報も適切に保護しなければなりません。取引先を含めたサプライチェーン全体を視野に入れたガバナンス体制の構築が求められます。

③従業員へのセキュリティ教育とインシデント対応体制を整備する

サイバー攻撃の防止には、人的なセキュリティ対策も欠かせません。たとえば、1人の従業員が不審なメールへの対応を誤り、結果として社内にマルウェアが広がるケースもあります。こうした事態を防ぐためには、全従業員へのセキュリティ教育が不可欠です。

近年は、AIを悪用して実在する企業になりすますなど、巧妙な手口が増えています。最新の脅威動向やケース別の対処法など、押さえておくべきポイントを従業員に周知しましょう。1人ひとりのセキュリティ意識を高めることで、組織全体の防衛力を底上げできます。

また、インシデント(事故や事案)の発生を想定した連絡体制や、初動対応の手順をあらかじめ整備しておくことも大切です。定期的な訓練を実施し、迅速に対応できる体制を構築すれば、被害の拡大を最小限に抑えられるでしょう。

対策④データ暗号化によって情報漏えいリスクを最小化する

どれだけ厳重な防御を講じても、日々進化するサイバー攻撃を100%防ぐことは困難です。そのため、境界線の防御に頼るのではなく、システムへの侵入を前提とした「最後の砦」として、データ暗号化が重要となります。

データ暗号化とは、データを第三者には読み取れない形式へ変換する技術です。万が一、データベースやファイルが窃取されたとしても、暗号鍵がなければ内容を解読できないため、情報漏えいによる実害を抑えられます。

近年増加している二重脅迫への対策としても、データ暗号化は有効です。アクセス制御やログ監査と組み合わせることで、外部からの攻撃だけでなく、内部不正による情報の不正持ち出しにも備えられます。

データベースの暗号化については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

データベース暗号化とは? メリット・デメリットと種類を徹底解説

銀行をサイバー攻撃から守るデータ暗号化プラットフォーム「D.AMO」

銀行では、サイバー攻撃を防ぐだけでなく、万が一の侵入時に重要なデータを死守する仕組みが求められます。そのためには、データ暗号化を軸とした多層的なセキュリティ対策が欠かせません。

「D.AMO」はデータ暗号化をはじめ、アクセス制御やログ監査、鍵管理までを網羅した統合型データ暗号化プラットフォームです。銀行や金融機関での導入実績も多く、機密データの保護と厳しいコンプライアンス対応を同時に実現します。主な特長は次のとおりです。

  • 銀行や金融機関における豊富な導入実績
  • アプリケーションを改修せず既存システムへスムーズに導入できる設計
  • カラム単位の暗号化によりシステム性能への影響を最小限に抑制
  • データ暗号化、アクセス制御、ログ監査、鍵管理の一元化
  • データベース管理者とセキュリティ管理者の職務分離による特権IDの内部不正対策
  • 国内外の特許や認証を取得した独自技術と韓国国内シェアNo.1の実績

ランサムウェアや巧妙な内部不正に対しては、「侵入を防ぐ」という従来の壁だけに頼る防御では限界があります。重要なのは、侵入されたとしても重要データを保護し続けることです。D.AMOは、銀行に求められる確実なデータ保護を支え、情報漏えい対策やガバナンス強化をしっかり後押しします。

D.AMOについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

データ暗号化プラットフォーム「D.AMO」とは?機能や特長、利用例を紹介

まとめ

銀行を狙ったサイバー攻撃は、AIの進化やサプライチェーンの複雑化にともない、さらに高度化しています。ランサムウェアやDDoS攻撃、不正アクセスなどの被害は、情報漏えいや業務停止だけでなく、社会的信用の低下にも直結します。

そのため、アクセス制御やネットワーク監視、サプライチェーン対策、従業員教育に加え、万が一侵入された場合に備えたデータ暗号化まで含めた多層的な対策が不可欠です。

特に銀行では、顧客情報や取引データを安全に保護する仕組みが欠かせません。データ暗号化からアクセス制御、ログ監査、鍵管理までを一元的に実現できる「D.AMO」を活用し、より強固なサイバー攻撃対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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