企業DXの進展に伴いあらゆる場面でデータの利活用が求められる現代では、重要なデータを適切に保護することは重要な課題となっています。
特にサイバー攻撃は手口が高度化しており、セキュリティインシデントの件数は増加傾向にあります。情報漏えいや不正アクセスなどのリスクから大切なデータを守るためには、データセキュリティの基本的な知識と適切な対策が必要です。
本記事では、データセキュリティの重要性や情報漏えいが発生する原因、そして具体的な対策方法までをわかりやすく解説します。
データセキュリティとは
「データセキュリティ」とは、企業や個人が保有する重要なデジタルデータを不正アクセスや改ざん、漏えいなどの脅威から守るための技術や仕組みを指します。
情報セキュリティとの違い
「情報セキュリティ」とデータセキュリティは、「機密情報を保護する」という点は共通していますが、対象とする範囲に違いがあります。
情報セキュリティは、電子データだけでなく紙媒体や口頭情報なども含んだ広い意味での情報資産を保護するための対策です。
一方、データセキュリティは、デジタルデータの保護に特化した対策であり、サイバー攻撃や不正アクセスといったオンライン上の脅威への対応を指すことが一般的となっています。
データセキュリティの目的
データセキュリティの目的は、データの「機密性」「完全性」「可用性」を確保し、不正アクセスや改ざん、盗難などの脅威から守ることです。
機密性とは許可された者だけが情報にアクセスできる状態のことで、完全性は情報が正確で改ざんされていない状態、可用性は必要なときに情報へアクセスできる状態を指します。
サイバー攻撃などからデータを保護するためには、それぞれの要素を理解して適切な対策を講じることが重要になります。
データセキュリティが求められる理由
近年はデータセキュリティを求める声が大きくなっており、その背景にはサイバー攻撃の高度化やDXの加速などさまざまな理由があります。ここでは、データセキュリティが求められる理由についてそれぞれ解説します。
サイバー攻撃の高度化
近年のサイバー攻撃は標的型攻撃やランサムウェア、ゼロデイ攻撃など、より巧妙かつ高度な手法が使われるようになっており、被害件数も年々増加しています。そのため、不正アクセスやマルウェア感染により、企業の顧客情報や機密データが漏えいするリスクが高まっています。
サイバー攻撃から大切なデータを守るためには、適切なデータセキュリティ対策が欠かせません。このような背景から、従来のウイルス対策ソフトやファイアウォールに加え、EDRや暗号化などの侵入を前提とした対策や、組織のセキュリティ体制の整備といった、サイバー攻撃への対策が求められています。
企業の信頼を維持する
企業の保有する機密情報が漏えいした場合、取引先や顧客に対して甚大な損害を与える可能性があります。また、セキュリティインシデントが発生すると、企業の社会的信用は大きく損なわれ、ブランドイメージの低下や、最悪の場合、業務停止にもつながります。
その結果、売上の減少や損害賠償の支払いなど、経済的な損失を被る恐れがあります。こうした事態を避けるためにも、企業にとってデータセキュリティは重要な経営課題といえるでしょう。
法令違反を防ぐ
個人情報を取り扱う事業者は、個人情報保護法をはじめとする関連法令への対応が必要になっています。2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、情報漏えいが発生した際には、個人情報保護委員会および本人への通知が義務付けられました。
個人情報保護法への対応が適切でない場合、企業は訴訟のリスクや損害賠償を請求される可能性があります。適切なデータセキュリティ対策を講じることは、法令違反を防ぐためにも重要な取り組みになります。
DXの加速と企業にとってのデータの重要性の高まり
近年ではさまざまな業界でDXが急速に進展しており、企業の業務プロセスやサービスの多くがデジタル化されています。DXが加速したことにより、日々の業務で活用されるデータの量は飛躍的に増加し、データの重要性も高まっています。
特に顧客情報や業務ノウハウなどのデータは企業の重要な情報資産であり、外部に漏えいした際の影響は多大なものとなる可能性があります。
そのため、これらの情報資産を守るためのデータセキュリティの必要性は、これまで以上に高まっています。
情報漏えいが発生する原因
情報漏えいは、サイバー攻撃をはじめとして、内部不正やクラウドの設定ミスなど、さまざまな原因で発生します。ここでは、情報漏えいが発生する原因について解説します。
サイバー攻撃
サイバー攻撃は情報漏えいが発生する主な原因のひとつで、被害件数も年々増加しています。特にランサムウェアによる被害は急増しており、IPA(情報処理推進機構)が公表する「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、ランサムウェアによる被害が第1位となっています。
サイバー攻撃によって、ランサムウェアなどのマルウェアに感染すると、データの破壊や改ざん、窃取などの被害を受ける可能性があります。また、VPN機器やOSの脆弱性をついた不正アクセスによってデータが流出するといったリスクもあります。
「情報セキュリティ10大脅威 2025」については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてお読みください。
情報セキュリティ 10大脅威 2025の解説|企業が取るべき対策とは?
内部不正
情報漏えいの原因は、外部からの攻撃だけではなく内部不正も大きな割合を占めており、IPAの「情報セキュリティ10大脅威2025」でも、内部不正は第4位にランクインしています。
内部不正は、社員や関係者など組織内部の人間による不正行為によって機密情報が流出することで、USBなどの記録媒体を用いたデータの持ち出しや、退職者による機密情報の流用などの事例が報告されています。
そのため、データセキュリティは外部からの攻撃だけではなく、内部不正に対する対策も適切に行う必要があります。
クラウド環境におけるリスク
クラウドサービスの利用が拡大する一方で、設定ミスによる情報漏えいの事例も増加しています。クラウドはどこからでもアクセスできるといった利便性がありますが、その特性から設定を誤ると情報漏えいにつながる危険性が高くなります。
たとえば、アクセス制限の不備や公開設定の誤りにより、意図せず第三者に情報が閲覧されるといった事例が報告されています。総務省もこのリスクに対応するため、「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」を公開し、企業への注意喚起を行っています。
データセキュリティの効果的な対策
サイバー攻撃や内部不正から機密情報を保護するためには、複数の対策を講じることが重要です。ここでは、特に効果的なデータセキュリティ対策の例を紹介します。
バックアップ
バックアップは、システム障害やサイバー攻撃といった不測の事態に備えて、データを定期的に別の媒体へ保存しておく対策です。
万が一、サイバー攻撃によってデータが破壊・改ざんされても、バックアップデータがあれば元の状態に復旧することが可能なため、被害を最小限に抑えることができます。
バックアップの保存先としては、外部ストレージやクラウドサービスが一般的です。また、複数の拠点でバックアップデータを保管することで、災害発生時などに事業を継続するためのBCP対策としても有効になります。
アクセス制御
アクセス制御とは、データにアクセスできるユーザーや操作を制限する対策です。
業務上必要な人だけにデータの閲覧や編集権限を付与することで、不正アクセスやアカウント乗っ取りによるデータ窃取のリスクを軽減することができます。
また、アクセス制御は内部不正やヒューマンエラーによる情報漏えいのリスクに対しても有効です。さらに、アクセス制御と合わせてアクセスログの記録と監視を行うことも重要です。アクセスログを監視することで、不正アクセスや異常な操作を早期に検知できるため、情報漏えいのリスクを低減することができます。
データベースの暗号化
データベースの暗号化は、データベース上のデータをを第三者に理解できない形に変換する対策です。データベースを暗号化しておけば、正当な権限を持たない第三者が不正にアクセスしても、データを復号できなければ内容を閲覧することはできません。
サイバー攻撃は高度化しており、攻撃手法も常に変化し続けているため完全に防ぎ切ることが難しくなってきていますが、データベースを暗号化しておくことで、仮に不正アクセスを受けてしまった場合でも情報漏えいのリスクを軽減できます。
データベースの暗号化には「D.AMO」がおすすめ
データの重要性が高まっている現代では、データセキュリティ対策を行うことが必要不可欠となっています。
サイバー攻撃や内部不正から機密データを保護するためには、情報漏えいが発生する原因をしっかりと理解して適切な対策を行う必要があります。
特にデータベースの暗号化は根源的なデータセキュリティ対策であり、情報漏えいを防ぐためには効果的な対策です。
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